研究課題/領域番号 |
19K01701
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
窪田 康平 中央大学, 商学部, 准教授 (20587844)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育 / 消費 / 労働供給 / 所得ショック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,家計の予期しない所得の変化,つまり所得ショックに対して家計の行動がどのように変化するのかを明らかにすることである.特に所得ショックにより,親の労働供給と親の子どもへの教育投資がどう変化するのかに着目する.教育投資の指標には金銭的投資と時間的投資を用いる.恒常所得ショックと一時所得ショックを区別したうえで,これらの所得ショックに対する教育投資の反応を推定し,保険がどの程度機能しているのかを評価する.さらに,金銭的投資と時間的投資の関係は代替的それとも補完的なのかを評価し,家計の教育投資行動の解明を目指す.2019 年度は主に三つの研究を行った.第一に,所得ショックと消費保険に関する研究である.その結果,一時所得ショックに対する保険は機能していること,恒常所得ショックに対する保険は部分的に機能していること,また,資産残高や夫の学歴によって保険機能の度合いが異なることが明らかとなった.さらに,一時所得ショックは2000年代後半に上昇してた一方で,恒常所得ショックは1999年から2013年までほぼ一定に推移していることが明らかとなった.第二に,所得ショックと労働供給行動に関する研究を行なった.現在,家計の消費と労働供給の両方を考慮した意思決定モデルのパラメータの推定を行なっている.第三に,教育投資に着目した研究を行うためのデータを厚生労働省に申請した.現在データを入手し,データの整理を行なっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は予定通りに進行している.その第一の理由は,所得ショックと消費保険に関する研究を論文としてまとめ,国際雑誌に投稿したからである.第二の理由は,所得ショックと労働供給行動に関する研究について.家計の消費と労働供給の両方を考慮した意思決定モデルのパラメータの推定を行なっているからである.第三の理由は,教育投資に着目した研究を行うためのデータを厚生労働省に申請し,データを入手したからである.
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今後の研究の推進方策 |
所得ショックと労働供給行動に関する研究の分析を終え,分析結果を論文としてまとめて,学会や研究会で発表する予定である.さらに,教育投資に着目した研究を遂行するために,入手したデータのクリーニング及び分析を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は時間的な制約が理由で国外での学会へ行くことが困難であったため,当初予定していた旅費を使用しなかった.
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