研究実績の概要 |
2022年度は引き続き連続時間社会的ジレンマの実験検証の研究計画を遂行することを目指した。前年度の研究から論文をまとめ投稿を行ったが、改善の必要性を指摘され、追加の実験を計画したが、コロナの影響もあって被験者の集まりが思うようにゆかず、科研の延長を申し出、検証を次年度に持ち越すこととなった。 一方、過去のデータの蓄積から、公共財実験における研究においてIsaak, Andrew, Christiane Schwieren, and Yoshio Iida. "Reaching agreement on contribution behavior in different cultures-a public goods game with representatives in Japan and Germany." Journal of Behavioral and Experimental Economics 99 (2022): 101894.として発表することができた。これは小集団の代表者のみが全集団にかかわる公共財への貢献度を決める公共財ゲームの意思決定者になれるという形の社会的ジレンマ状況の下でのドイツと日本の被験者行動を比較したもので、ドイツでは、合意形成に時間がかかる日本人に対して、見知らぬ人の協力性を信頼しやすく、集団の合意形成が早く、プレイ前のコミュニケーションでの議論や戦略策定が早いことがわかった。これは小集団の代表者が公共財に投資する際の集団形成と行動における異文化間の差異についての理解に貢献し、異文化間のマネジメント、交渉、リーダーシップへの示唆を与えるものである。
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