研究課題/領域番号 |
19K01722
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
江口 允崇 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (40600507)
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研究分担者 |
岡野 衛士 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20406713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ソブリンデフォルト / 最適財政・金融政策 / FTPL |
研究実績の概要 |
2019年度は、主に理論的な研究に専念した。具体的には、ニューケインジアン型のDSGEモデルにUribe (2006)のFTSRタイプのデフォルトを導入したモデルを構築し、デフォルトリスクが存在する場合の財政・金融政策のレジームの特徴について明らかにした。まず、家計の効用関数を2次近似することで厚生損失関数には国債の利回り格差が現れることが判明し、この項こそが本モデルにおけるデフォルトリスクが生み出す厚生損失の源泉であることが分かった。そして、導かれた厚生損失関数を最小化した場合の最適政策と、アドホックな厚生損失関数を最小化した場合の最適政策を比較した結果、厳密に導かれた厚生損失関数のもとではインフレ率が高くなることが示された。これは、デフォルトに伴うコストが存在する場合は、インフレを活用して債務の安定化を図るほうが厚生を高めることを示している。この結果は、英文の査読付き雑誌であるEurasian Economic Reviewに掲載された。また、この研究では経済にはTFPショックのみが存在するとしているが、続く研究ではTFPショックに加えて政府支出ショックも導入し、需要側のショックと供給側のショックで大きな違いが出ることが明らかとなった。この結果は2019年6月に開催された25th International Conference Computing in Economics and Finance(CEF2019)などで報告され、現在また別の国際学術雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的な理論分析を2019年度に完成させ、その結果は既に英文の学術雑誌にアクセプトされている。また、追加的な分析も既に別の学術雑誌に投稿中である。以上のことから、計画は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現実のデータを用いて、実証分析を行っていく。既にインドネシアのデータを用いて、カルマンフィルタによる推定を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
キーボードを購入する予定であったが、当該年度の配分では予算が足りなかったため、繰り越して購入することにした。
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