研究課題/領域番号 |
19K01723
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
古市 将人 帝京大学, 経済学部, 准教授 (50611521)
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研究分担者 |
安藤 道人 立教大学, 経済学部, 准教授 (10749162)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自殺率 / 道府県別パネルデータ分析 / 財政支出 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に実施した分析の継続、先行研究の検討、学会報告、研究成果の公表に取り組んだ。 主に、2つの成果がある。まず、戦前の地方財政支出と自殺率との関係を分析した研究について、学会報告をした。これまでの研究期間において、主に2つのことを実施した。まず、戦前の道府県自殺統計を中心に、道府県パネルデータを整備した。次に、そのデータを用いて、戦前の地方財政支出と自殺率との関係を分析してきた。特に、中央政府の政策によって急増した地方財政支出に注目をした。 以上の成果を踏まえて、本年度は、基本的な分析結果の頑健性や解釈について、分担者と協議を重ねた。そして、戦前を対象とした研究成果を2021年10月23日の日本財政学会にて発表をした。学会当日の研究報告のタイトルは、学会プログラム記載のタイトルから変更をした。そのため、実績欄に記載しているタイトルは、当日の研究報告のタイトルにしている。学会プログラム記載のタイトルは、実績欄にも書いている。 学会報告において、分析結果に対して、討論者から有益なコメントをもらうことができた。分析結果を解釈するために、道府県の特徴や当時の政策に関する調査を進めた。その作業から、処置変数とアウトカムとの関係をより理解するために必要な課題が明らかになってきた。新たに判明した課題に関する調査分析を現在進めている。また、分析結果の頑健性を確認するための方法についても分担者と協議をした。例えば、新たに整備したデータを用いて分析結果の頑健性のチェックを行った。また、これらの成果を踏まえて、研究内容をワーキングペーパーにするための準備を進めた。 第2に、戦前の自殺率の推移について分析を行い、その内容の一部を論文として、法政大学経済学部の紀要に発表した。この論文は依頼論文である。具体的には、戦前の自殺率の推移を寄与度分解の手法で分析をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の報告書にも記載したが、2020年度のコロナ禍以降、大学業務量などが増加し、それが本研究にも影響を与えていた。具体的には、戦前の分析に関するデータ整備が遅れていたため、分析の実施とその結果の解釈に関する作業が遅れることになった。とりあえず、2021年10月23日の日本財政学会で発表するだけの成果をまとめることはできた。しかし、その成果を学術雑誌に投稿できるまでの水準に練り上げることはできなかった。そのため、2021年度が当初の最終研究期間であったが、1年間研究期間を延長することにした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度が、最終研究期間になる。基本的には、戦前を対象とした研究を学術誌に投稿できるまでの水準にまで改訂することが、最終期間の目標である。追加分析に必要なデータの検討・整理、収集したデータの整備、資料の調査、追加分析、論文の改訂を行う予定である。特に、データ分析で得られた基本的な結果を解釈するために必要な資料の収集や検討に加えて、分析の頑健性のチェックに力を注ぐ予定である。現在、分析結果の頑健性をチェックするための様々な手法を検討している。 これらの作業と並行して、研究成果を学会等で報告することを予定している。2022年5月末の日本経済学会にて、研究分担者が本研究の成果を発表する予定である。そこでのコメントなども踏まえて、論文執筆を進める。 論文をワーキングペーパとして公表できる水準まで練り上げるのが、2022年度の目標である。可能ならば、論文を学術雑誌に投稿できる水準にまで改訂することも、2022年度の目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度と2021年度の研究に遅れが生じたため、予定していた作業に着手できなかったのが、次年度使用額が発生した主な理由である。 具体的には、移動を伴う学会報告、論文投稿、新たに必要になったデータ整備を行わなかったことが、その理由である。学会報告に関する費用は研究計画に計上していた。2021年度に一度学会報告を行った。ただし、それはオンライン報告であった。また、2021年度中に論文を書き上げて、その論文を英文の学術雑誌に投稿をすることができなかった。研究中に判明した課題を遂行するために必要なデータ整備は、2021年度中にも行った。ただし、作業中に新たな課題が浮上し、追加のデータ整備が必要になった。このデータ整備に必要な資料の収集などがまだ終わっていないことも、次年度使用額発生した理由である。 以上の作業は2022年度に行う予定である。
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