研究課題/領域番号 |
19K01725
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
原 ひろみ 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (50605970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子どものいる労働者 / チャイルド・ペナルティ / 政策評価 / 女性労働 / 公共職業訓練 / 離職・転職 |
研究実績の概要 |
子どものいる労働者に対する政策介入の効果を検証することが本研究の主な目的である。研究初年度である令和元年度は、child penaltyに関する文献のレビューを行うとともに、分析に使用する政府統計の個票データの利用申請作業とデータクリーニングを主に行った。利用申請には大変時間がかかり、10か月もの時間を費やしてしまったが、最終的にはデータを入手し、各年データのラベル貼りや変数作成等の基礎的な作業とデータクリーニングはほぼ完了した。 また、出産後の女性労働者は離職することが多いことが知られているが、離職者の再就職を支援する離職者訓練の効果に関する分析も、本研究の一環として実施した。より大きいサンプルサイズを確保することができる政府統計の個票データの利用申請を行うとともに、これまでの研究成果を論文としてとりまとめ、国際学会で口頭発表を行い、国際学術雑誌に投稿したところである。これまでの研究成果をまとめると、Propensity Score Matching 法を使ってATTの推計を行ったところ、離職者訓練への参加は男性に関して統計的に有意な効果は認められなかったが、女性に関しては就業確率、就業後の所得、正社員就職率のすべてにおいて統計的に有意にプラスの効果が認められことが明らかにされた。さらに、分析サンプルの構築の仕方によって、分析結果が変わることも示し、分析サンプルの構築を注意深く行うことの重要性も指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析に使用する政府統計の個票データの利用申請作業に大変時間がかかり、10か月くらいの時間を費やしてしまったが、なんとかデータを入手し、データクリーニングを行うことができた。 また、本研究の一環として実施ししている離職者訓練の効果についても、政府統計の個票データの利用申請を行い、ファーストドラフトを国際学会で口頭発表を行い、国際学術雑誌に投稿したところである。 以上から、研究初年度としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
子どものいる労働者に対する政策介入の効果に関しては、記述統計量の確認や計量分析が行えるよう引き続きデータクリーニングとデータプーリングの作業を進めていく予定である。これらの作業がおおかた終わったところで、クロス分析と計量分析に入っていくことを計画している。そのうえで、論文として一定のとりまとめを行い、ディスカッションペーパーとして公表できるように準備を進める予定である。 また、本分析の一環として行った離職者訓練の効果に関する分析も、国際学術誌に採択されるまで、さらなる改訂が必要になると考えられる。学会等のキャンセルが続いているが、オンラインでの発表方法を模索し、ブラッシュアップを続け、国際学術誌による採択を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
子どものいる労働者に対する政策介入の効果の分析に関して、政府統計の個票データの利用申請に想定以上の時間がかかってしまい、予定していた学会等での発表をすることができなかったため、次年度使用額が生じた。分析を進めて、学会等のキャンセルが続いているが、オンラインでの発表方法を模索したいと考えており、そのために使用する予定である。
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