研究課題/領域番号 |
19K01732
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
奥田 英信 帝京大学, 経済学部, 教授 (00233461)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カンボジア / 商業銀行 / 資本構成 / 市場競争度 / ドル化 |
研究実績の概要 |
(a)現地調査の中止:当初の予定では、令和1年度の現地調査で収集したミクロレベル・データを利用して計量経済分析を行い、令和2年度の現地調査では、その結果をフィードバックする形で、現地研究者との意見交換と金融機関からの追加資料収集を行うはずであった。しかしながら、令和2年の春からCOVIT19によるコロナ禍が深刻化し、カンボジアへの入国が非常に困難になったため、予定していた現地調査は中止せざるを得なくなった。また、コロナ禍によってカンボジア経済の状況が悪化し、現地の金融機関の活動もその対応に追われる状況となり、オンラインによる意見交換やデータ収集を実施することも、難しい状況となってしまった。 (b)データベース拡充:当初の予定では、令和2年度の現地調査によってデータベースの補充と更新を行なうはずであったが、(a)の事情からこれができなくなった。このため、中央銀行等が発表している公開資料を利用することで時系列データの延長などの作業を行った。ただし、コロナ禍によってカンボジアの経済情勢が悪化し、金融機関の経営状況も不安定になっているため、令和2年度に追加したデータは異常値としての性格を持っている可能性も高く、果たして計量経済分析に適した特性を満たしているのか不明確である。 (c)暫定的な計量分析結果の発表:これまで収集したデータを利用してカンボジア商業銀行の資本構成の決定要因について回帰分析を行った。また関連する研究として、商業銀行の費用効率性についても、再推計作業を行った。これらの結果は、令和2年6月6日に開催されたアジア政経学会春季大会において、学会報告を行った。 (d)以上のように、当初に計画していた現地調査とデータ収集作業ができなくなったため、これらの作業を1年繰り下げて令和3年度に実施する必要があり、本研究は1年間の延長が必要な状況となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度には、現地調査を行って現地研究者と意見交換を行なうことと追加資料を収集する計画であったが、CORVIT-19によるコロナ禍のため現地調査は中止することとなった。またカンボジア経済の混乱により金融機関の営業も変則的となり、公刊資料による時系列データの拡張についても、回帰分析に利用可能な追加的なデータベースの更新が難しくなった。 これらの事情から、データベースを拡張し現地調査の情報を追加利用した実証分析作業が事実上行えなくなった。令和2年度に計画していた、銀行の資本構成の決定要因並びに費用効率性の推計作業は進展が見込めず、それらの成果を取り纏めて行う計画であった学会報告や学会誌への投稿が進められなくなっている。状況の改善のためには、コロナ禍の終息によるカンボジア経済情勢の安定化と、現地調査の実施が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度にコロナ禍に改善がみられ、カンボジア経済情勢が安定化して現地調査が行える場合は、(a)従来の計画通り現地調査を実施し、現地研究者との意見交換とデータ更新を行う。その上で、(b)銀行の資本構成の決定要因、費用効率性、市場競争度の分析作業を更新し、(c)学会報告と研究論文の学会誌投稿を急ぐ。 また、令和3年度にコロナ禍に改善が見られず、カンボジア経済情勢が安定化しない場合は、既存のデータベースによる実証分析作業結果を取り纏めるとともに、コロナ禍による経済情勢の変化が銀行の資本構成に与えた影響について、新たな視点からの実証分析を行い成果を取り纏めるように努力する。 いずれの場合も、研究期間を1年間延長し、令和4年度を最終年度として研究を取り纏めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に計画していた現地調査とデータ収集作業ができなくなったため、これらの作業を1年繰り下げて令和3年度に実施する必要があり、本研究は1年間の延長が必要な状況となっている。 令和3年度にコロナ禍に改善がみられ、カンボジア経済情勢が安定化して現地調査が行える場合は、(a)当初の計画を1年繰り下げて現地調査を実施し、現地研究者との意見交換とデータ更新を行う。その上で、(b)銀行の資本構成の決定要因、費用効率性、市場競争度の分析作業を更新し、(c)学会報告と研究論文の学会誌投稿を急ぐ。 万が一、令和3年度にもコロナ禍に改善が見られず、カンボジア経済情勢が安定化しない場合は、既存のデータベースによる実証分析作業結果を取り纏めるとともに、コロナ禍による経済情勢の変化が銀行の資本構成に与えた影響について、新たな視点からの実証分析を行い成果を取り纏めるように努力する。この場合にも、本研究は1年間の延長が必要な状況となっている。
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