a)研究実施の経緯:当初の現地調査予定では、令和1年度に暫定的な計量分析を行うためのデータ収集と、令和2年度に暫定的分析結果についての現地研究者等との討議、令和3年度には研究成果の学会報告と学会誌への投稿のための最終確認を行う予定であった。しかしCOVIT19によるコロナ禍により、令和2年から予定していたカンボジアでの現地調査は実施できなかった。またオンライン等による意見交換やデータ収集も、コロナ禍による現地金融機関の経営への混乱によって難しくなった。以上のように、当初に計画していた現地調査とデータ収集作業ができなくなったため、本研究が令和5年度まで延長を認められた。 (b)データベース拡充: (a)の事情から、令和2年度と令和3年度の現地調査ができなくなったため、中央銀行や国際金融機関のホームページからデータを収集した。令和5年度までに、コロナ禍の期間を含むデータベースの拡充を行った。 (c)計量分析結果:第1段階として、データ制約と信頼性、現地聴き取り調査の欠如という問題が残っているが、令和3年までのデータを利用した暫定的な分析結果として、カンボジア商業銀行に関する銀行資本構成の決定要因に関する論文と銀行市場の競争度の推計に関する論文を、令和4年に大学紀要に発表した。 (d)計量分析結果:第2段階として、令和5年度には、コロナ禍後のデータを加えたデータベースを利用してカンボジア銀行業の資本構成に関する計量分析を改定し、アジア政経学会で報告した。また、カンボジアにおける大規模アンケート調査実施以降のプロジェクトの総括としてCambodia DollarizationのタイトルでRoutledge社から英語書籍を出版し、出版記念セミナーをプノンペンで行った。
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