研究課題/領域番号 |
19K01742
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
佐々木 百合 (長瀧百合) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融政策 / 日本 / 銀行 / 貸出 / 規制 |
研究実績の概要 |
第一に、前年度集めた日本の銀行の財務データを引き続き利用して、部分均衡モデルにおいて変数同士の影響を調べた。 第二に、銀行のバランスシート状で、どのようなことが起こるのかを整理した。特に、日銀による買いオペが行われるときに、民間銀行のバランスシートがどのように変化するのか、それによって貸出を増やす効果があるのかをまとめた。また、新型コロナ感染症対策で貸出が増えるときに民間銀行のバランスシートにどのような変化が表れてどのような影響があるのかも整理した。 第三に、今後の金融政策を占うために、今後のインフレ率の動向について分析した。そこでは、近年コロナとウクライナのために、サービス価格上昇していること、賃金上昇期待されていること、小売物価統計の基本銘柄の価格変更がみられること、POSデータを利用するなど感応度を高める努力がなされていること、携帯電話料金値下げ効果低下すること、コロナ明け需要への期待があることから、インフレ率は近々2%を超える可能性が高いことが示された。したがって、この先金融政策も変更されることが予想される。 第三の点に付随して、物価についても研究も行った。特に小売り物価統計を調査することが現在の日本の金融政策が目標としているコアCPIの根幹をなすことから、小売物価統計についてこれまでの研究をサーベイするとともに現状について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集に思ったより時間がかかったこと、金融政策が大きく変わる可能性が出てきたために、それに関する調査研究を先に行ったことで、予定よりも親交がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまで様々な角度から調べてきた日本の金融政策について論文を一つ書くとともに、全体のまとめをしていく予定である。具体的には、バランスシートのデータを利用して、銀行行動について整理するとともに、フローの損益計算のデータも利用して、収益率を組み込んで銀行の行動を説明していく予定である。特にメガバンクと地銀の行動は2016年のマイナス金利導入後変化してきているので、その理由を資本収益率などで説明することを目的とする。 対面での学会活動も再開することと予想されるので積極的に参加して、これまでの成果についてアドバイスを受ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、海外学会への出席や海外での調査研究ができなかったため。次年度は海外に行けるようになると思うので、学会に出たり、調査研究を海外に行って行う予定である。
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