| 研究実績の概要 |
2024年度は、研究の最終年度として、これまで検討を進めてきた研究課題(債務増加のマクロ経済への影響の検討(課題2)および金融危機の連鎖を避けるための検討(課題3))の研究成果について、更に説得力を高める工夫を行い、学術雑誌への投稿を行った。具体的には、以下のとおりである。第1に、世界金融危機の前後で、先進国や新興市場国においてマクロ経済と金融の連関が変化したが、これは債務の規模や構成の変化によるものかどうかの検討を加えた。特に、世界金融危機後、アジア地域の国ではグローバルやリージョナルな金融ショックのマクロ経済への影響は小さくなるが、欧州地域の新興市場国では、リージョナルな金融ショックのマクロ経済への影響が大きくなることを明らかにし、この違いは、地域間の債務の規模や構成の違いと関連がある可能性を指摘した。研究成果は、2024年9月にフランスで開催された国際経済関連の会議で発表した(Enya et al.,2024)。そして、更に、論文の完成度を高めて学術雑誌に投稿した。第2は、これまでの検討を踏まえて、金融危機の連鎖のメカニズムと危機を避けるための政策についての検討を行った。金融危機後、一部の金融機関に規制が課されるとともに金融緩和政策が採られるが、これにより、規制対象外の投資家による投資や多国籍企業による第3国を経由した迂回的企業内資金融通の増加など、グローバルな金融がより複雑になっていることを確認し、これらの傾向に関する分析には、より丁寧な統計データによる事実の把握や分析の必要性を認識した。これらの分析と検討により、本研究課題の研究目的を達成することができた。
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