本研究では動学的確率的一般均衡モデルを用いて交易条件の変化と財政収支に着目して共通通貨圏での賃金硬直性が経済厚生にもたらす関係について分析した。先行研究では本研究と同じく交易条件の変化に着目している一方、財政収支には着目していない。本研究では財政収支の影響を考慮するために先行研究とは異なりモデルに明示的に政府を導入し、さらにBohnルールのような内生的な財政フィードバックルールを組み込むことで分析を行った。分析の結果、先行研究では賃金伸縮性は共通通貨圏において経済厚生を必ずしも高めるものではないことが示されている一方、本研究では賃金伸縮性は経済厚生を多くの場合において高めることを示した。
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