研究課題/領域番号 |
19K01763
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
志村 裕久 創価大学, 経営学部, 教授 (80768250)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | データ包絡法 / デンマーク金融システム / ローン効率化モデル |
研究実績の概要 |
COVID-19の影響により、デンマーク現地での取材は執り行うことができなかったため、昨年同様に、2年前にデンマーク金融庁の担当者からご教授頂いた方法にて、データを取得し、データベースの完成に挑んだ。 作成したデータベースを参照して、2段階データ包絡法を用いて、リーマンショック以降の地方金融機関のローン効率性のモデル化を行った。モデルとしては、ローン効率性を預金からローンへの金融機関における貸し出しの効率性(ここでは分母である預金と分子であるローン金額の比率を貸し出しの効率性と定義)とローンから得られる金融収益(ここではローンを分母とし、金利収入を分子として収益性として定義)との2段階から分析を行い、最終的にはこれらの効率性が最大化となるモデルを構築した。 結果としては、デンマーク金融市場におけるローン効率性マップを完成することができた。このマップでは、貸し出しの効率性と収益性が最も高い企業群、貸し出しの効率性が高いが、収益性が低い企業群、貸し出しの効率性が低いが収益性が高い企業群、そして、貸し出しの効率性と収益性がともに低い企業群に分類することに成功した。ローン効率性が低い企業ほど、被買収企業、あるいは倒産企業となることがわかった。また、実際の業界再編に目を向けると、効率性の高い金融機関が、隣接している効率性の低い金融機関を買収することで、規模の拡大とローン効率性の改善に取り組んでいることが明らかになった。これらの結果を用いて、論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、デンマーク現地での取材は執り行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、6月末ポルトガルで開催される第12回European Efficiency and Productivity Analysis Workshopsでのアブストラクトが受理されたため、現地での口頭発表のため、論文化を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、デンマーク現地での取材ができなかった。したがって、日本国内での入手可能なデータを用いて、データベースの構築とモデル作成を行ったため、出費はなかった。 本年度に関しては、欧州における学会発表とデンマークでの現地取材を計画しており、それに伴う旅費等の発生を考えている。また、論文作成により校閲料等の発生を計画している。
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