研究課題/領域番号 |
19K01764
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
沈 政郁 京都産業大学, 経済学部, 教授 (70706499)
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研究分担者 |
久保 亮一 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80339754)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家族企業 / 多角化 / 多角化指標 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、家族企業と非家族企業の戦略行動の違いを明らかにし、行動の違いが業績の違いをもたらすのかを明らかにすることである。本年度は研究の3年目であり、昨年に完成させたデータを用いて、来年の最終年度に向けて分析を進めた。まず、前年度に完成した上場したすべての企業セグメントデータを用いて、詳細に多角化の定義をおこない、多角化のトレンドを1998年から2018年まで考察した。得られた主な結果は、セグメントを4桁と2桁に集約することで単純にセグメントの数を数える既存研究に比べて多角化の程度が低く推定できたこと、多角化行動は製造業がメインであり非製造業では多角化が進んでいないこと、多角化が進んだとしてもそれは主に関連多角化であり、非関連多角化をおこなった企業は稀であることが明らかになった。 この結果は、なぜ多くの日本企業が環境の変化に対応できず苦しんでいるかをうまく説明している。競争が激化している現代において持続的な競争優位を保てる企業はごく少数であるとされていて、好業績を維持している企業は一時的な競争優位をつなげている企業であると言われている。本年度の分析結果は、多くの日本企業は関連多角化がメインで非関連多角化はあまりしていないということであり、業績の変動は小さいかもしれないけど、環境が激変すればその変動にうまく対応できない可能性が高いということであり、まさに多くの企業が陥っている罠をうまく説明できるのである。 次に家族企業と非家族企業の多角化行動の違いを分析し、家族企業は非家族企業に比べて多角化行動には消極的であるけど、企業業績は高いことを発見した。しかし、因果関係の方向性の解明は残された課題であり、最終年度にこの因果関係を明らかにし、家族企業と非家族企業の多角化行動の違いが本当に業績の違いをもたらすのかを解明していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んできている。研究の3年目である本年度には、2年目に完成させたデータを用いて、最終年度に向けて必要になる基本的な結果を揃えることができた。論文執筆で少し遅れている感はあるけど、最終年度でしっかりまとめてゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は研究の最終年度である。最終年度の目標はもちろん、論文の完成とJournalに投稿することである。本年度に得られた結果をベースにして最低2本の論文を完成させ、海外のJournalに投稿していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid19の影響で海外学会参加などの活動が制限され、予定していた支出をおこなうことができなかった。最終年度では、執筆活動に専念し、論文校閲などで未使用分をしっかり活用していく予定である。
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