研究課題/領域番号 |
19K01765
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
播磨谷 浩三 立命館大学, 経済学部, 教授 (90347732)
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研究分担者 |
森 祐司 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00526428)
尾崎 泰文 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (10359896)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域金融 / 地域経済 |
研究実績の概要 |
今年度は、主たる研究課題に関連した金融機関の顧客満足度調査のデータベース(金融METER)を購入し、地域性の違い等について基礎的な記述統計量に基づく整理を行った。昨年度からの継続課題である地域銀行の証券子会社設立の効果に関しては、設立背景と設立後のパフォーマンスの変化、それぞれについて検証を行った。当初は分離して研究成果をまとめることを予定していたが、証券子会社のデータベースの分析対象期間が長くないことから、一括して草稿をまとめている段階である。また、当初は地域銀行のパフォーマンスの変化を検証する予定であったが、証券子会社の設立形態の違いに着目する方が意義があると判断したため、証券業における地銀系証券会社のプレゼンスという観点から検証を行った。 その他、地域銀行の顧客満足度の違いを探る過程で、ネット専業銀行などの新しい形態の銀行のプレゼンスの向上が無視できないとの共通見解が共同研究者間で得られたことから、関連データの整備を行った。新しい形態の銀行と既存銀行との効率性の違いという視点で試験的な分析に着手しており、今年度中に草稿をまとめる予定である。また、コロナ禍での加速している地域銀行の営業店舗の統廃合の影響を検証する目的に、民営事業所の開廃業率に与える影響を空間計量モデルを用いた検証を行った。関西地域に限定した分析結果をまとめた成果については昨年度に公刊しているが、現在は全国に拡張した分析に取り組んでおり、こちらも今年度中に草稿をまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主たる研究課題である、地域銀行の証券ビジネスの取り組みの効果に関する検証については、【研究実績の概要】にある通り、地域銀行の証券子会社設立の効果に着目し、草稿をまとめている段階にあり、順調に進展している。他方、研究計画の初年度に追加的に着想した、地域銀行の顧客満足度に関連した研究課題については、購入した単年度のデータベースに基づく整理は終えたものの、分析を進める過程で、コロナ禍による影響に関する検証も必要との合意を共同研究者間で得た。そこで、本研究課題の補助事業期間を延長し、当初は旅費で予定していて執行できていなかった研究費を上記の連続する年度のデータベースの購入に充て、コロナ禍前後の変化について拡張的な検証を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
地域銀行の証券ビジネスの取り組みの効果に関する検証は、現在、草稿をまとめており、早期に仕上げて今年度の前半には投稿する予定である。同様に、現在進行中の新たな形態の銀行の効率性の検証についても、今年度の前半には草稿をまとめ、投稿を行いたい。地域銀行の顧客満足度に関連した研究課題については、追加購入する単年度のデータベースを今年度の前半に行い、昨年度に終えている直前のデータベースに基づく分析結果との比較検証を進める。可能な限り、今年度の後半に草稿をまとめ、投稿を終えたいと考えている。その他、校務負担の無い8月か9月のいずれかに、これらの研究成果の中間報告を兼ねた研究会を、関連した他の研究者も交えて開催することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に続き、予定していた研究会の開催と共同研究者との対面での打ち合わせが、新型コロナウィルス感染拡大による所属大学の自粛要請で中止となり、旅費の執行が取りやめとなった。なお、当初の研究計画に新しい検証課題を加えることが研究計画の初年度に決まり、その分析に必要なデータベースを昨年度に購入したが、今年度もその連続する年度のデータベースを購入することが既に決まっており、使用額の大部分をその費用として充当する予定である。
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