研究課題/領域番号 |
19K01770
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉本 喜美子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (70351434)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金融統合 / 経済成長 / 株式市場 / 生産性 / 資本流入 / アフリカ / 金融深化 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
フランスAix Marseille UniversityのGilles Dufrenot教授との共同研究(1)サブサハラアフリカは、人口増加が労働生産性の非効率性をもたらし、人口ボーナスを享受できていないという実証分析をInternational Atlantic Economic Societyのオンライン学会で発表した。 共同研究(2) アフリカにおける金融グローバル化は技術生産性と生活水準を向上させるかの分析は、より最新のデータを加え、分析手法を絞り込んで再検証し、査読誌への投稿にむけた最終段階にある。さらには、アフリカの金融グローバル化が経済成長に貢献しうるかは、アフリカ各国の国内金融の発展度合いに応じて変わりうると示す単著論文は、閾値の設定を内生化するモデルで推計できたので、結果をEurasia Business and Economics Societyのオンライン学会にて発表した。さらに、デジタル金融の側面も加えて、分析を進めたいと考えている。 共同研究(3)先進国のマクロ・プルーデンシャル/金融政策が金融の安定性に影響するか、分析を始めているが、アフリカの金融政策のサーベイも同時に進めており、アフリカの金融政策の実証分析につなげられないか検討している段階である。 共同研究(4)先進国株式市場のデータを用いて、Quantile and copula spectrumの分析手法を説明したサーベイ論文は、著書の形で残した。同じ手法を、COVID-19危機が金融/商品市場に与える影響は過去の危機と類似しているか?を検証する論文に用いて、大阪学院大学の松木隆教授と共著で、現在査読誌への投稿に向けて調整している。アフリカの株式市場の動向を同じ手法で分析するため、アフリカの株式市場のデータ整備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初掲げた5つの目標のうち①世界金融危機以降の先進諸国による金融緩和策が与えた、グローバル市場との連動性の変化は、先進国の株式市場に焦点を当ててQuantile and copula spectrumの手法で分析し論文の形にまとめた。今後、アフリカの株式市場に拡張するか、もしくはコロナ危機下のアジア/先進国金融市場への影響を確認することに拡張できないか検討している。 データを整備し、サーベイが書けないか検証しているのは②アフリカにおける金融グローバル化の実態と資本流入の決定要因である。論文をすでに執筆し、再投稿にむけて修正と再検証段階にあるのは③金融グローバル化がアフリカ各国の生産性と貧困削減に与える影響である。学会発表をふまえて修正段階にあるのは④金融グローバル化が経済成長を促進させるために必要な国内金融発展の程度である。 最後に、フランスAix Marseille UniversityのGilles Dufrenot教授、同大学博士課程のMeryem Rhouzlaneさん、大阪学院大学の松木隆教授と共著で、先進国量的緩和政策とマクロ・プルーデンシャル政策が金融の安定性に与える影響を実証分析し始めている。これは、最後の目標⑤資本規制/為替制度の選択/マクロ・プルーデンス政策の実施など、金融グローバル化を享受するために求められる制度や政策の選択はどうあるべきかに対応している。⑤に関しては、西アフリカ地域共通通貨ECOの導入に焦点をあてたサーベイ論文という形で拡張できないかも、あわせて検討している。 開催を企画/予定していた国際ワークショップなどがすべて取りやめとなっていることから、今後コロナ感染症の蔓延が収束した時に、共同研究の成果を発表できる機会を様々な形で探したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年3月9日~9月15日まで、国際共同研究加速基金を活用させていただきフランスAix Marseille Universityに留学する予定が、コロナウイルスの蔓延により渡航延期となった。当初は、2020年6月、もしくは2021年3月にAix Marseille Universityの先生方と日本の同研究分野の先生方を招いて“French/Japanese Conference on Asian and International Economies in an era of globalization”を開催すべく準備を進めていたが、すべて延期となった。また、2020年4月28-30日アフリカ・トーゴのロメ大学において開催予定で招待されていた西アフリカ通貨統合に関する国際会議“Du FCFA a L'ECO: Quelle monnaie pour quel developpement en Afrique de L'Ouest? CFAフランから共通通貨Ecoへ:西アフリカのどんな発展のためにどの通貨が望ましいのか?”も延期となった。残念ながら、コロナウイルスの収束が不確定であることから、留学の延長も断念せざるを得なかった。しかし、共同研究はオンラインで進めることができており、研究成果をオンライン開催の国際学会で発表することに努める予定である。ただし、次の研究の契機となりうる研究者交流を図る上でも、研究期間を延ばして、コロナ後の国際学会で実際に発表できないか検討している。 アフリカの持続的な経済成長に貢献しうる金融のグローバル化を知るためには、アフリカ金融のデジタル化にも注目していく必要があることから、この分野のサーベイとデータの取得にも努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表予定だった国際学会が、コロナウイルス感染症の蔓延のため、2020年度はすべてキャンセルとなったため。同時期に予定していた国際共同研究加速基金によるフランス留学、およびその際に開催予定と計画していた国際ワークショップもすべて取りやめとなったため。 コロナが収束して以降、国際学会に参加できるかを検討したい。また、最近の金融データは国際機関でない民間データも充実していることから、データ購入も検討したい。
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