研究課題/領域番号 |
19K01770
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉本 喜美子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (70351434)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融統合 / 資本流入 / 金融深化 / 経済成長 / 株式市場 / 生産性 / グローバル化 / アフリカ |
研究実績の概要 |
フランスSciences Po. AixのGilles Dufrenot教授との共同論文1)サブサハラアフリカの人口増加は労働生産性の非効率性をもたらし、人口ボーナスを享受できない 2)アフリカにおける金融グローバル化が技術生産性と生活水準を向上させるかは国によって大きく異なる、は"Topical issues in Development Economics: an international perspective"の本に掲載(Chapter13と18)が決まり、校正を済ませて2023年度中に発刊予定である。 共同研究3)西アフリカ共通通貨Eco導入においてどのようなポリシーミックスが可能か、については、中央銀行デジタル通貨の視点も加え、Frankel & Wei(2008)やFrankel & Xie (2010,AER)の手法を用いて検証しており、論文投稿にむけてまとめている段階である。 2022年6月27日には、Aix Marseille University博士課程Ababacar Sambeさんの博士審査会(Pre-Defense)に審査委員として招待されオンライン参加した。アフリカにおけるPPP(Public Private Partnership:官民連携)問題に関するもので、アフリカにおける資金調達のあり方につながる新しいデータを、ここから学んだ。 他にも東アジア各国データを用いた共同研究4)マクロ経済のビジネスサイクルがグローバル/地域/各国独自の金融要因から受ける影響、5)コロナ禍における株式市場がグローバル/地域から受ける短期的影響、において用いた、dynamic common factor modelやスピルオーバー指数の導出といった手法をアフリカのケースで検証すべくデータを収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請当初に掲げた目標のうち、1)金融グローバル化が経済成長を促進させるために必要な国内金融発展の程度、に関しては査読雑誌への再投稿に向けてデジタル要因も加えた分析を行っている。2)金融グローバル化がアフリカ各国の生産性と貧困削減に与える影響、に関しては本の1章として校正を済ませ、2023年度中に出版予定である。3)金融グローバル化を享受するために求められる制度や政策の選択、に関しては為替制度の選択に注目した共同研究に、中央銀行デジタル通貨の要素を含めて実証し始めている。本研究の進捗状況に関してはある程度順調ではあるが、当初予定していた国際学会と国際ワークショップが、2022年度も時期的に難しく対面で参加できなかった。確保していた予算を次年度に繰り越して使用させていただくこととしたい。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの長期継続と役職についていたことにより、国際ワークショップの対面参加は難しかった。しかし共同研究はオンラインで進めることができており、研究成果をオンライン開催の国際学会で発表、国際雑誌への投稿へとつなげるよう今後も努める。 2023年度は、アフリカの持続的な経済成長に貢献しうる金融のグローバル化を知るうえで、1)アフリカ金融のデジタル化の進展度合いが各国経済にどう影響するか 2)金融グローバル化がアフリカ各国所得を世界レベルにどう収斂させるか 3)先進国がアフリカ株式市場に与える影響がコロナ禍でどう変化したかの点に注目し、この分野の研究の総括を行う。共同研究では先んじてアジア諸国などに注目して分析を始めており、アフリカのデータを用いて実証分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表や討論者依頼を受けていた国際学会/ワークショップが、コロナウイルス感染症を配慮し、2022年度はすべてハイブリッド開催となったことから、オンライン参加により旅費が不要となったため。国際機関でない民間データも充実していることから、こうしたデータ購入を検討するとともに、2023年度9月に予定している国際ワークショップの参加に充てたいと考えている。
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