研究課題/領域番号 |
19K01772
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
鈴木 勘一郎 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (10569784)
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研究分担者 |
加藤 康之 東京都立大学, 経営学研究科, 特任教授 (30612428)
篠原 欣貴 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (50781457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ESG投資 / 社会的インパクト / 社会的評価モデル / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近年金融市場や産業界で注目を集めるESG投資における社会的リターン(社会的インパクト)の評価に関して、内外の研究成果を踏まえながら、証券分析の観点から社会的評価を定量化することである。その目的達成のために、令和2(2020)年度において主に3種類の研究活動を行った。まず1.社会的インパクトに関する内外の情報の収集分析を行った。また年度後半には、2.京大ESG研究会における参加企業のワークショップを通じたステークホルダー価値についての調査と、3.東洋経済データベースを使ったステークホルダー価値分析のためのデータ整備を行った。 (1)「社会的インパクトの評価に関する情報収集」:社会的インパクトの評価に関しては、大学(例えばケンブリッジ大学やハーバード大学など)などのアカデミック機関、産業界や政府、その他の様々な団体などからの調査報告書や主要企業のサステイナビリティレポートなどについて詳細な分析を行った。(2)「京大ESG研究会を通じたステークホルダー価値の具体化」:京大の外郭企業(京大オリジナル)が主催する京大ESG研究会(共同研究者の加藤が座長、鈴木が顧問)を2019年度から運営している。同研究会は2020年度において各種勉強会の他、会員企業にステークホルダー理論の観点から経営課題と目標、KPIによる見える化の内容などを整理してもらい意見交換を行った。(3)「東洋経済CSRデータに基づく社会的価値分析のためのデータ整備」:同CSRデータを使ってデータ項目を選別し、その中からステークホルダー価値の分析を行うための項目を6つの価値(株主、従業員、顧客、供給者、社会的、環境)に分類し、それぞれの意味とデータのまとまりを確認した。同時にFACTSETデータベースから当該企業の株価や業績のデータをダウンロードして多変量解析に使えるように整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において、事前に予定していた欧米の投資家や行政、アカデミックにおける専門家などへの訪問インタビューが不可能となったが、一部Zoom等のコミュニケーション手段を使った遠隔インタビューに切り替えた。また国内のほとんどの活動(内部打合せや外部の研究会など)も遠隔で円滑に実施された。なおデータ分析について、緊急事態宣言によりデータダウンロードに支障が出て一部の作業に遅れが出たが、その後はほぼ予定通り進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
3年目である令和3(2021)年度は、ステークホルダー価値による社会的価値の分析を行う。時系列の株価データを利用してステークホルダー価値とPBRやベータで代表される企業の市場価値を非説明変数とした分析や、セクター毎の特色やステークホルダー価値が高いグループと低いグループで経営的指標の平均値に有意な差があるかどうかなどについて分析する予定である。さらに定量分析と同時に、内外の研究者、投資ファンド、評価機関などの専門家や各種事業会社のESG担当者から、ESGやSDGsへの取組みについてインタビューを行うことで定性的側面も確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、事前に予定していた欧米の投資家や行政、アカデミックの専門家などへの訪問による直接インタビューが不可能になったため。今期は情報収集費等での支出が見込まれる。
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