研究課題/領域番号 |
19K01774
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 歩 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (10374886)
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研究分担者 |
高橋 秀直 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)
古賀 大介 山口大学, 大学院東アジア研究科, 教授 (50345857)
布田 功治 亜細亜大学, 経済学部, 講師 (70609370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際金融センター / 金融危機 / イギリス / 商業銀行 / 不良債権 / 大恐慌 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に続くコロナ禍で研究メンバーによる討論に戻づいた研究の進捗を測ることが困難であった。しかしそのような中でも、研究メンバーがそれぞれ担当分野に関わる個別研究を進めることができたことは幸いであった。菅原は、国際銀行史に関する英文共編著を出版することができた。その中では、特に、ヨーロッパとアジアにおける、中心国と周辺国の間の金融センター間のネットワーク、中心国の金融センターのシステム内の構造としててのロンドン市場内での取引内容、19世紀半ばにおける金融危機によるアジアにおける金融センターの力関係の移行(ボンベイから香港)などについて明らかにすることができた。菅原はまた、国際学会を含む学会報告において、アメリカ、イギリス、日本に関する金融センター間の関係を実証的に明らかにすることができた。古賀は、これまでに収集してきたイギリス商業銀行に関する資料分析を通して、第一次大戦期のイギリス商業銀行の財務分析を行うことで、イギリスの金融センター内の構造を明らかにすることができた。布田は、日本における不良債権処理の研究によって、金融危機の帰結とそれへの対応について明らかにすることができた。このほか、学会の地方部会と連動させて、菅原が国際収支危機の類型化に関する理論的・実証的研究に関して研究交流を行うことができたことと、菅原の研究室においてアメリカの大恐慌における金融的要因についての先行研究の整理を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、今年度も研究計画申請時に予定していた研究活動で実施が不可能なものが多々生じた。特に、本研究では海外での史料調査を研究計画時にはカギとなる活動としていたが、海外渡航が不可能となり、それらを一切実施することができなかった。また、国内においても出張や対面での研究会の規制・自粛により、研究メンバーによる中間的な研究交流などを行うことが著しく困難となった。これらのデメリットを可能な限り相殺するため、研究会のメンバーがそれぞれ、すでに収集済みの史料を分析視角を変えて利用する可能性を探ったり、既存文献を利用した研究方法を模索するなどすることで研究実績の概要で示したような成果を上げることはできた。この得失を相殺して、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、研究メンバー間の研究進捗状況の交流や、研究アイディア・研究成果の交流についてはオンラインの活用をこれまで以上に積極的に行うこととしている。また、海外渡航による史料調査を代替するような具体的な研究方法においては、各メンバーがすでに過去に収集済みの史料の視角を変えた活用、二次文献を活用した研究方法の模索、データベース等の作成とその活用を基礎とした研究方法の模索などで、必要な成果を得ることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず、次年度使用額が生じた理由は、今年度もコロナ禍のため、海外出張と国内出張ができなかったため、それらの目的での使用を予定していた研究費が使用できなかったことである。使用計画については、代替的な研究方法の模索に伴う文献の購入、データベースの購入、既存文献のデータにもとずくデータベース構築のための文献購入費と入力のための人件費の支出を予定している。
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