研究課題/領域番号 |
19K01774
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 歩 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (10374886)
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研究分担者 |
高橋 秀直 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)
古賀 大介 山口大学, 大学院東アジア研究科, 教授 (50345857)
布田 功治 亜細亜大学, 経済学部, 講師 (70609370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 金融センター / 国際金融センター / 銀行ネットワーク / コルレス・ネットワーク |
研究実績の概要 |
今年度は、アメリカ、イギリス、アジアの3地域それぞれの研究で、以下のような進展があった。アメリカに関しては、特に順調に研究が進展した。本プロジェクトの中心的な課題である、「ネットワーク理論」にもとづいた、金融危機が波及と危機波及が抑制について、大恐慌期の事例を通した解明が進展した。本プロジェクトの構想当初に、アメリカ大恐慌を、「周辺→中心」の金融危機波及とする仮説を設定していた。先行研究についての詳細な検証と、アメリカの週ごとの銀行破綻数と預金喪失額のデータ整理が大きく進展したことで、この「周辺→中心」という金融危機波及という仮説が実証的に支持できることが明らかになった。この研究は、菅原研究室の木村雄太氏(東北大学大学院経済学研究科大学院生)によって実施された。アメリカについては、中心とニューヨークとシカゴに分けた上での「中心→周辺」という金融危機の反作用の検証が課題となることも明らかとなった。イギリスに関しては、一次史料研究と既存研究の組み合わせによって、研究が進展した。主な成果は、国際金本位制期・第一次大戦期の(1)英系商業銀行が受け入れていた海外コルレス預金の額が明確になった(2)英系商業銀行が保有していた海外コスレス先の預金額が明確になった、の2点である。これらの発見によって、金融危機波及の際のロンドンでの各種金融資産の動きという次に解明すべき課題が明確になった。アジアに関しては、19世紀から20世紀という長期のシンガポールの国際金融センターの歴史的発展の過程が明らかになった。特に、シンガポールの国際取引の基本的基盤としてのマレー半島との経済取引の内容が具体的に明らかになった。シンガポール証券取引所でのマレーシア関係の証券取引が次の検討課題であることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はコロナ禍の資料収集の制約下での研究方法に進展があった。具体的には、資料収集、研究打ち合わせ双方でのオンラインの活用であった。その結果、研究実績の欄の記載したような具体的な研究の進展を得ることができた。それでもなお残っている研究期間全体としての遅れは、主に2020年度のコロナ禍のもとでの史料・資料収集への制約と研究打ち合わせへの制約によって生じたものである。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に得られた、オンラインによる史料・資料収集の手法を、2022年度も積極的に活用する。2021年度までで、具体的な研究成果の蓄積が得られ、また最終年度(2022年度)に明らかにすべき課題も明確になったので、最終年度は研究代表者を中心にオンラインを積極的に活用しながら、理論的枠組みを明確にしつつ、これまでの実証的な研究成果の取りまとめを中心に研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にコロナ禍のため予定していた史料・資料収集ができなかったことと予定していた研究打ち合わせができなかったため。
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