研究課題/領域番号 |
19K01781
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
竹内 祐介 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (30711238)
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研究分担者 |
兒玉 州平 山口大学, 経済学部, 准教授 (30644405)
李 海訓 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (70757278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 北満 / 満洲国 / 華北 / 満洲国有鉄道 / 輪作農法 / 大豆粕 |
研究実績の概要 |
予定では最終年度となるが、代表者・分担者それぞれの研究を総合化して一つの見解を提示できるまでには至らず、進捗状況にはややばらつきがある。その上で、個々に資料の国内調査やデータ入力を進め、機会があれば個々で成果報告をおこなう方針をとった。 9月にはオンラインで研究会を行い、(1)北満経済史研究の古典的先行研究(石田興平1964『満洲における植民地経済の史的展開』ミネルヴァ書房)を検討し、問題意識の共有をはかるとともに、(2)それぞれの研究の進捗状況を確認した。 3月にも同じくオンラインで研究会を行い、9月以降の研究成果をそれぞれ確認し合った。内容は次のとおりである。 代表者の竹内は、1936年度・1941年度の満洲国有鉄道の貨物輸送の実態を検討した。特に、旧・東清鉄道区間の貨物輸送では、軍用品・局用品(鉄道関連資材)の輸送がその大半を占め、他の植民地鉄道(台湾・朝鮮・満鉄)と比較しても軍用鉄道としての性格が色濃くできることを明らかにした。 分担者の李は、北満地域の農業の特徴として輪作農法による地力維持があったことを明らかにした上で、それが満洲国期の、日本帝国に必要な農産物の強制栽培と増産を目的とする政策の下でも、基本的に維持されたことを明らかにした。 分担者の兒玉は、北満地域の主力産品である大豆粕の日本内地肥料市場における取引実態を詳細に明らかにするとともに、代替品となる硫安の登場によりその需要が全般的には縮小する傾向の中でも一定の需要をもっていたことを明らかにした。またそのことが満洲国期における北満の大豆粕取引機構に変化をもたらした可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特に二年目における新型コロナウィルス感染拡大にともなう国内外調査、研究会の中止などの影響により、予定していた到達目標にはやや遅れていると言わざるを得ない。ただし、今年度(予定では最終年度)だけをみれば、個々の研究課題も定まり、ある程度の研究の進捗がみられたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間の延長をおこなったので、次年度が最終年度となる。代表者・分担者の間で研究の進捗状況に差が生じている現状を鑑み、できるものから順次、個々で成果発表する方針をとりつつ、最終的にはそれぞれの進捗状況を揃え、全体としての一つの見解を提出することを目指す。そのために必要な国内調査(海外調査は現状を踏まえ断念する)とデータ入力を進め、年末には総合的な見解を示すための研究会を開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施を予定していた調査旅行および研究会が新型コロナウィルス感染拡大の影響により中止となったこと、そのために当初想定していた研究基盤とすべき資料群を変更せざるをえなかったことが原因である。
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