研究課題/領域番号 |
19K01782
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
永岑 三千輝 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員教授 (70062867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ユンカース / 全金属製航空機 / フィリ / ゼークト / ソ連進出 / ヴェルサイユ体制 / 航空機製造禁止 |
研究実績の概要 |
第一次大戦中から大戦終結後にかけて、フーゴー・ユンカースがどのように全金属製航空機を世界最先端で行っていったかを検証するため、2020年2月にベルリンに赴き、技術博物館(Techinikmuseum Berlin)と連邦文書館(Bundesarchiv Berlin)で調査を行い、史料を収集した。その帰国直後、コロナ禍が世界的感染となり、今年度予定していたドイツへの史料調査ができなくなった。それで、2020年度に予定していた現地史料調査の研究課題は2020年度中は実行できなくなり、2021年度以降に回さざるを得なくなった。そこで、2019年度に集めた史料とそれまでに集めた史料(ドイツ博物館Deutsches Museum Muenchenでの調査が主なものであった)の解読を進めた。 その成果として具体的に活字にできたは、【史料紹介】ユンカース社のソ連工場進出の投資額・負担額、という論文であった。ユンカース社は全金属製航空機開発に成功し、世界的に注目されたが、新生ソ連もまたこのユンカースの最先端技術に注目し、早期の導入を目指した。そして、ドイツ航空機工業、その中でもユンカースが連合国により航空機製造禁止を押し付けられたのをある意味でのチャンスとして、ソ連工場進出を働きかけ、ユンカースも、ドイツ国防軍(フォン・ゼークト将軍)の対ソ接近と国防軍の援助の約束で、モスクワ近郊フィリに工場進出した。 具体的にどのような金額、どのような投資を行ったのか、これが今までわからなかったが、収集した資料を見直す中で、【史料紹介】で示した文書を発見し、解読できた。それが、具体的な研究実績である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績で書いたように、コロナ禍により、予定していたドイツ史料調査ができなかった。 それで、これまでに集めた史料を中心に、史料解読・評価の仕事に限定せざるを得なかった。 実施できたのは、課題として設定した第一次大戦後の航空機開発の成果をどのように航空業の創出・展開に生かしたか、その過程での幾重もの困難とその打開のプロセスに関する資料解釈・そのメモの作成にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も、まだ、ドイツでの史料調査ができるとはとても思えないコロナ禍の状況がある。仮にワクチンを9月までに二回打てたとして、日独間の航空連絡がどの程度可能になっているのか、はっきりしない。 したがって、2021年度もほとんどの研究時間は、これまで集めてきた史料の解読と整理にあてざるを得ないであろう。年度末に、ドイツ史料調査ができればと期待しているが、果たして実現できるか、予断を許さない。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツ史料調査において、冬季航空運賃・ホテル代等が最安値で行えたため、106138円の余裕を出せ、2020年度に回すことが可能となった。 しかし、コロナ禍で、当初予定していた史料調査ができないため、2021年度にさらに繰越額が増えた。
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