研究課題/領域番号 |
19K01783
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研究機関 | 函館大学 |
研究代表者 |
田中 浩司 函館大学, 商学部, 教授 (80305888)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本経済史 / 日本中世史 / 金融史 / 利子変動 / 貨幣史 / 貸借契約 / 利子制限法 / 徳政令 |
研究実績の概要 |
令和元(2019)年度は、研究計画3年間の初年度にあたり、8~9月くらいまでに、今後の研究、史料収集にかかわる各種の機材の準備(ノートPC、デジカメ、プリンターなど)を整えること。 それと並行して、当該年度の調査対象地域の九州・四国・中国地方の史料調査として、刊行されている史料集の購入、当該地域への史料調査の準備を進め、9月以降に実地調査を行った。それと並行して収集・コピーしてきた史料のファイリング、データ入力を進めた。また、令和2(2020)年1月以降、学生アルバイトを雇用して、図書史料・データの検索、整理に当たらせた。 同じく上記の活動と並行して、これまでのデータと新規のデータを活用して、研究会などで口頭報告を行い、研究論文を執筆した。 調査の実績としては、熊本県立図書館(令和元年9月2~3日)、福岡県立図書館(同9月4~5日)、大分県立図書館(令和2年1月10~11日)の各図書館において、各県史類、県下の市町村史の検索とコピーなどを行い、多くの史料を収集した。これらにより、主要な県史および各県下の史料の所在確認と収集をすることができ、網羅的な資料収集のめどがたってきた。四国・中国地方は、今回の実地調査は未実施であるが、今後必要に応じて実施したい。 研究発表(口頭報告)の実績としては、函館大学地域総合研究所学内研究会(令和元年7月3日、函館大学)、貨幣史研究会(西日本部会)(令和元年10月6日、同志社大学)など。 研究論文としては、論文1本が校正の段階にあり、もう1本は現在学会誌に投稿すべく執筆中で、9割がた完成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究費の受給が決定した平成31(2019)年4月に、新たに学部長に就任した。そのため、不慣れな学部長の職務と、研究および研究費を使用するための諸々の事務の両立は、当初かなり難しいものがあった。 とりわけ物品購入(PCその他、相当の分量の研究図書など)、研究会出張にかかわる予算・スケジュールの管理などで、かなり繁忙となった。そのため、私でなければできない内容のデータの入力や整理が思うように進まなかった。 後期以降、学生アルバイトを雇用して、資料の検索・整理、データ入力などをお願いしようと考えていたが、その雇用も、こちらの準備の遅れもあり、令和2(2020)年1月からとなり、2月後半以降は、新型コロナウイルスによる肺炎の流行のため、アルバイトの増員も躊躇せざるをえず、アルバイトの習熟度も上がらなかった。そのため、資料の検索・整理、データ入力が思うように進まなかった。 以上の理由、状況により、全体として、当初の計画からは、少し遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2(2020)年度は、研究計画3年間の2年目にあたる。前年度は、九州・四国・中国地方を資料調査の対象としたが、今年度は、前年度の補足と、当初の計画に従い、近畿・中部地方を主な調査対象とする。スケジュールとして、夏休みまでに当該地域の刊本の史料集の購入、各地の図書館の情報などを集めて、実地調査の準備を進める。8~9月以降に実地調査を実施して、収集した資料は、秋季以降に学生アルバイトを雇用して、整理・データ入力などにあたらせ、研究成果へとつなげる予定である。 調査先としては、兵庫県、和歌山県、大阪府、京都府、滋賀県、福井県、富山県、新潟県などの県立・府立の図書館・文書館のうちから、いくつかを対象とすることを考えている。 このほか、新型コロナウイルスの流行などの影響もあって、前年度の研究計画のうちで実施できなかった図書の購入、学生アルバイトによる資料の検索・整理などは、今年度の早い時期から実施して、遅れを取り戻すように努力したい。 なお、本年度の計画している資料収集のための各地の図書館等への訪問、学生アルバイトの雇用(研究代表者の指導下でないとできない業務は、在宅勤務は不可)などは、新型コロナウイルスの流行が終息しない限り、実施が困難であり、その点、研究計画通りに進捗しないことがあっても、御了解を賜りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費については、令和2年に入ってからの新型コロナウイルスの流行により、学生アルバイトの増員をあきらめたため、予定よりも少なくなった。物品費の多くの部分は、図書購入費に充てることを考えていたが、古書店で購入する予定であったものが、品切れや高価で購入できないなどといった事情があり、物品費の支出が少なくなっている。物品費の消耗品については、学生アルバイトの作業の進捗に応じて、必要となる消耗品が、予定通りに進まなかったため、同じく減額となった。これらに対して、旅費については、資料調査、新たに参加した研究会への出張で、予定額を上回った。 そこで令和2年度は、新型コロナウイルスの早期の終息を前提として、学生アルバイトを活用した資料の検索・整理などを積極的に進めるとともに、資料収集や学会等に参加して、研究の充実を図りたい。そのために、人件費、旅費については、予定よりも増額する。新型コロナウイルスが早期に終息しない場合は、上記の人件費、旅費は支出しにくいので、ある程度の分は、図書購入を増やすことで、資料収集の出張を代替させるなどして、調査・研究をできるだけ推進するように努めたい。
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