研究課題/領域番号 |
19K01783
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研究機関 | 函館大学 |
研究代表者 |
田中 浩司 函館大学, 商学部, 教授 (80305888)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本経済史 / 日本中世史 / 金融史 / 金利変動 / 貨幣史 / 貸借契約 / 利子制限法 / 徳政令 |
研究実績の概要 |
具体的な研究実績として、阿部猛ほか編『郷土史大系生産・流通(下)』朝倉書店、令和2年12月刊)の分担執筆として、「金融 1.古代・中世」(同書、360~365ページ)が刊行された。 このほか、15世紀の京都に関するデータについて、最も大きな史料群である東寺百合文書からのデータ入力・整理を終え、一定の見通しがついたことから、15世紀の京都の利子率の変動と貨幣金融動向をテーマに研究論文を執筆し、12月に学会誌に投稿した。結果は不採用となったが、研究論文として、一定のレベルに達しているので、現在、発表の場を再考中である。 貨幣史研究会令和3年1月例会(令和3年1月10日。リモート開催)にて「日本中世の「悪銭」の流布と通用銭への転換」と題して口頭報告を行った。この内容は、令和3年度中に、学会誌に投稿の予定である。 金融の実態(利子率、貸借期間、担保、金融財などの推移)に関するデータの構築という点では、後述のように、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、史料収集が進んでいないため、順調とはいえない。しかしながら、その分、WEBでの史料の検索(東寺百合文書WEB)や、少し刊行年が古い刊本の重要な史料集を購入するなどして、データの収集に努めている。そのほか、すでに入力済のデータの内容をみなおして、統一性を持たせるなど、データの精度をあげるとともに、研究論文の執筆とその準備など、研究報告としてまとめるべく努力している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度も書いたが、本研究費の受給開始と同時に学部長に就任したため、学部長の職務と、研究・研究費関係の事務などで繁忙で、なかなか思うように進んでいない。それに加えて、史料収集については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、北海道・函館市および受け入れ先の状況から、まったく出張に出向くことができなかった。その分、古書店などで、自治体史や既刊の史料集を購入する形などで、史料の収集を行ったが、進捗に影響が出ている。また、史料収集が進まないため、学生アルバイトを雇用して行う予定の史料の整理も進んでいない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和2(2020)年度は、近畿・中部地方などの史料収集を予定していたが、上述のように新型コロナウイルス感染症拡大のため、まったく実施できていない。令和3年度についても、この感染状況(令和3年5月18日時点で緊急事態宣言)からすれば、北海道外への出張、史料収集はなかなか厳しいように思う。そのため、刊本の史料集の購入などを中心に、史料収集を行うこととし、今あるデータを精査して、研究論文の執筆のほうに傾注する方向で研究を進めることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2(2020)年度は、上述のように、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、資料収集の出張に出ることが事実上、不可能となり、資料収集の旅費の支出がゼロとなった。また、これに関連して、資料収集の業務を想定したアルバイトの雇用も、上記の感染症の拡大とあいまって行わず、人件費等もほとんど使用しなかった。 次年度は、感染拡大の状況を見据えながら、研究計画の遂行のため、出張、アルバイトの雇用を行うことにする。ただし、それが難しければ、資料収集は刊本資料の購入という形で代替するなど、代替の手段を講じることにしたい。
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