研究課題/領域番号 |
19K01785
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
松本 貴典 成蹊大学, 経済学部, 教授 (10219503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 営業税 / 在来産業 / 在来商業 / 在来サービス業 / 全国展開 / 経済発展 / 地域経済発展 / 数量分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代日本の在来産業研究の中でも最も研究蓄積の薄い在来的な第三次産業の発展を、営業税を用いて数量的に解明することを目的とする。分析対象は、物品販売業、運送業(人力や牛馬力による運送業)、労力・土木請負業、金銭貸付業(研究史の厚い質屋を含まない)、物品貸付業、旅人宿業、料理店業、席貸業(待合など)、印刷・出版業ほか、従来ほとんど解明されてこなかった多くの産業である。 基礎データは、(A)大蔵省『主税局統計年報書』所収の全国営業税と、(B)その下位統計である各地の税務監督局『税務統計書』所収の府県内営業税である。在来産業の中核分野でありながら研究蓄積の薄い在来的第三次産業について、(A)を用いて府県レベルの発展を巨視的に捉え、(B)によって各府県の在来産業の展開を地域経済発展と関連させながら、研究代表者は研究を進めている。 (A)については基礎データの入力が完成した。しかしながら、(B)については――鋭意資料蒐集中のものがあるもののコロナ禍のためにそれが思うようにいっていないが――ある程度の入力は進んだ。ただし、コロナ禍のために、資料の所蔵元に直接赴いて、その資料を複写したり写真撮影することができないでおり、それがボトルネックになっている。 論文化作業は、(A)を用いて、労力・土木請負業、金銭貸付業、物品貸付業、旅人宿業、料理店業、席貸業などの在来産業(とくに研究蓄積の薄い在来的なサービス業)について、鋭意執筆中である。また、(B)を用いて、資料の欠損を克服できた、とくに東京府の物品販売業と運送業の論文の執筆中である。 巨大なデータ処理を必要とするが、非常にチャレンジングな課題であるゆえに、今後も精力的に研究を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(A)の大蔵省『主税局統計年報書』の営業税データは、ほぼPC入力が完成した。(B)の各地の税務監督局『税務統計書』所収の府県内営業税データは、資料の欠損が多く、まだ完成にはしばらくかかると思われる。(B)については所在が確認できた資料がいくつかあるが、「貴重本扱いになっているがゆえに、ILLでの請求ができないが、来館するなら写真撮影は可」というものがある。しかしながら、令和2年年初からのコロナ禍によって、国内を移動する資料調査が実施できず、現在はコロナ禍の終息を待って調査できるように準備中である。「おおむね順調に進展している」を選んだ理由は、こうした資料調査ができず、(B)の完成が当初の計画より遅れているためである。 (A)については、論文化は進捗しているが、(B)については、現状ではデータの完成の前段階である。コロナの推移を見まもりつつ、調査を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
(A)を用いての各種在来商業・サービス業の全国展開の研究は、前人未踏の研究であり、今後とも積極的かつ精力的に執筆を続けたい。 (B)はコロナ禍の推移次第であるが、いくつかの府県については、ほぼデータが集まった状況である。そこで、その府県域内の在来産業の展開を地域経済発展と関連させながら、検討する論文を執筆していく。 また、以上の研究成果を学会の全国レベルの大会で、報告をしていくことにする。商業の部分については、松本貴典編著『未踏の領域――商業の近代――』(日本評論社、出版契約済み)を準備中である。 くわえて、これらの営業税データから分かった在来産業についての業績をまとめて出版することも計画中である。 さらに、海外からのオファー(Routledge社)があるので、それを英文で出版することも進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来計画していた資料調査が、コロナ禍のために実施できず、若干の「次年度使用額」が生じた。 今後は、コロナ禍の推移を見まもりつつ、翌年度分として請求した助成金と合わせて、資料調査や資料撮影に赴きたい。
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