研究課題/領域番号 |
19K01790
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
若林 幸男 明治大学, 商学部, 専任教授 (60328961)
|
研究分担者 |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
谷ヶ城 秀吉 専修大学, 経済学部, 教授 (30508388)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 国際人的資源管理 / 総合商社 / 戦前期豪州羊毛事業 / 兼松 / 三井物産 / 三菱商事 / 高島屋飯田 / 多角化多国籍企業 |
研究実績の概要 |
2021年度においてはコロナ禍による出国制限、国内調査への自粛要請があり、前年度に引き続き、予算を多く消化する研究活動、共同研究者との対面での調査・研究会はその実施が不可能であった。ただし、今までのデータによる分析と共同研究活動の総括として、著書の刊行を当該年度中に行うことができた。これは若林幸男・大島久幸・山藤竜太郎編『国際人的資源管理の経営史』(日本経済評論社、2022年1月25日)である。 本書は編者のほか、秋谷紀男、市川大祐、市原博、木山実、藤村聡、谷ヶ城秀吉が執筆しているが、その原点は2015年度経営史学会全国大会(阪大)でのパネルディスカッションである。当該パネルはそれまでの豪州国立公文書館における太平洋戦争時の接収日本企業資料への調査により、戦前期豪州進出日本商社、三井物産、三菱商事、高島屋飯田の三社のデータ蒐集と現地法人であった兼松史料(神戸大学所蔵)の双方を突合せ、戦前期における豪州進出商社の羊毛買付事業を中心とした事業内容とそこに投入された人的資源を比較したものである。 同一市場へ同時期に進出した企業の人的資源を比較する歴史研究は数少ないが、それは、コストや教育レベル、熟練等の要素から進出企業同士の同型化が当初から想定されていたためである。ところが、戦前期豪州進出日本商社は様々な労働市場、つまり、現地人材、日本からの派遣人材、また、ほぼ永住する日本人などその調達先は様々で、この相違点に着目し、多国籍企業としての商社としての性格についての分類からこの現象を説明する本書の波及効果は経済・経営史学会のみならず、国際人的資源管理に関わる周辺領域に対しても極めて大きい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の欄で書いたように、研究活動はほぼゼロに近い状況がコロナ禍での諸制限により続いていた。本研究は延長を余儀なくされたが、それはこのためである。ただし、上述の著書の刊行は本研究にとって大きな一歩となった。2022年度においては遅れていた国内調査を再開する予定である。海外調査については実施可能となった段階で計画を立てる必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
現在の手元データに加えて戦前期豪州労働市場に関わる文献蒐集、そして手元データの加工、利用を進める予定である。また、各商社で派遣された中心的な人材、とくに羊毛買付のメインバイヤーとなった人材の国内での足跡をたどる資料収集を行い、研究の完成を目ざす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における諸活動制限により、次年度使用額が形成され、また、研究計画自体を延長せざるを得ない状況となった。今年度も研究の再開は不安定であるが、所期の計画に可能な限り近づけていく予定である。
|