研究課題/領域番号 |
19K01790
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
若林 幸男 明治大学, 商学部, 専任教授 (60328961)
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研究分担者 |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
谷ヶ城 秀吉 専修大学, 経済学部, 教授 (30508388)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際人的資源管理 / 総合商社 / 戦前期豪州 / 現地ホワイトカラー労働市場 / 三井物産 / ステノグラファー / セールスマン / 販売業務委託 |
研究実績の概要 |
当該年度における調査活動はコロナによる活動制限にともない、ほぼ実施はできなかったものの、すでに収集した史料のデジタル化によるデータによって、以下の論文を作成、発表した。 若林幸男「戦前期豪州における内部労働市場の発達と日本商社の人材調達」『明治大学社会科学研究所紀要』第61巻第2号(2023年3月)、本稿では、NAA旧蔵の「オーストラリア国立公文書館旧蔵日系企業記録」の収集済みデータを主に使用した。 従来、戦前期の豪州における労働市場についてはAwards制度の運用から、かなり流動的な労働市場の存在が想定されていた。しかしながら、Seltzerらの研究(Seltzer, Sammartino(2009), “Internal Labour Markets: Evidence From Two Large Australian Employers”Australian Economic History Review,49(2))や若林他の『国際人的資源管理の経営史』(日本経済評論社、2022年)によって明らかになった戦前期豪州のホワイトカラー労働市場について、三井物産在豪州拠点における現地採用の従業員、HCNについて、その入社形態と勤続状況から、背後に存在したであろう当時の労働市場の構造を推測するものである。 これにより、1920~30年代の三井物産シドニー支店のHCNの調達市場は3つの主なものを析出することができた。第一のものは14,15歳の初等教育修了者、第二に17歳から20歳までのそれで第二次教育機関修了者、そして第三に大学レベル出身者を含めた専門な職業のそれで、最後の市場は深く外部労働市場と接続していた。 本稿ではこの点を特に強調し、当時の日本の内部労働市場との相違点を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナによる現地踏査の予定を大幅に削減した研究状況である。既に収集したデータの加工を優先させてきたが、コロナによる規制からアルバイトによる入力もオンラインでの作業となって、大幅に能率が低下した。2022年秋からコロナによる規制が徐々に解除されたため、研究会の再開とデータのアルバイトによる入力作業をようやく始めた。
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今後の研究の推進方策 |
再開した作業および研究会を再開する。 さらに、2023年中においては、海外でのデータ収集を再開する予定である。すでに豪州拠点でのデータ収集はほぼ終了したものとして、今回は韓国(当時日本による統治下)でのデータの痕跡を捜索する予定である。三井物産京城(現ソウル)支店におけるデータの収集を目途としてソウル歴史博物館、旧支店跡などを調査するプロジェクトを展開し、後日、台湾拠点との比較分析を計量的に展開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる活動制限により、当初計画していた海外を含む現地データ収集の実施が不可能となり、既収集データの入力、加工に活動が終始したため。この状況は本研究を開始した直後に発生し、その後約3年間にわたって継続した。このことによって、研究計画はほぼすべて着手に至らない状況であった。 2023年度においては、活動制限がほぼ撤廃されたため、計画を集約して海外を含めた現地データ収集を積極的に再開する予定である。とくに、戦前期の日本商社の進出先拠点のうち、旧京城(現ソウル)支店のデータについては、韓国歴史博物館等の公共図書館に出向き、その残存資料を捜索し、また、旧京城支店跡の痕跡を追跡する予定である。 一連の研究計画を夏をめどに前倒しして展開する予定であるが、共同研究者との調整を現在急ぎ進めている状況である。
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