加賀前田家・加賀横山家・長州毛利家を中心に、明治期から昭和戦前期を対象として、一次史料の収集とそれに基づいた分析を行った。研究結果を一言でいえば、同じく旧大藩大名華族でも、毛利と前田はまったく異なる性格を有していた。そしてそれは両家とも、前近代以来有していた性格であった。他方、横山家は旧大名ではなかったため、これまた前田や毛利などとはまったく異なった性格を有していた。すなわち制約が少なく、自由な企業家活動が可能であり、企業家精神旺盛な同家は、武家華族としてはきわめて珍しいリスクをとった事業展開をみせた。また華族が昭和金融恐慌で大打撃を被ったという通説はでたらめであることなどもわかった。
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