研究課題/領域番号 |
19K01797
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
鹿野 嘉昭 同志社大学, 経済学部, 教授 (60241767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国立銀行 / 明治9年国立銀行条例改正 / 幕末金貨流出 / 日米修好通商条約 |
研究実績の概要 |
本年度は、コロナ渦で予定していた英国出張ができなかったため、国立銀行制度に関連する英国資料の収集は取り止めることにした。それにもかかわらず、明治9年の国立条例改正の意義と効果やそれが国立銀行経営に及ぼした影響を明らかにするなど、国立銀行制度の整備過程に関する研究は順調に進んだ。加えて、英国出張に関連する研究に代えて、幕末から明治初年にかけて進展した貨幣制度改革のありようについての研究を行った。 その結果、明治9年の国立銀行条例改正の意義と効果を改正前の経営実態を踏まえて分析した「明治9年の国立銀行条例改正」(日本金融学会『金融経済研究』第45号、2022年3月<査読あり>)に加えて、条例改正後における国立銀行の経営状況の変貌を明らかにした「明治9年の条例改正後における国立銀行の経営状況」(同志社大学『経済学論叢』第73巻第4号、2022年3月)という国立銀行制度の整備に関する論文を2本公表することができたほか、貨幣制度改革についても日米修好通商条約に至る交渉を子細に分析のうえ金貨が大量流出するに至った背景を詳細に議論した「再考:幕末における金貨の大量流出」という論文を日本金融学会で報告し、その修正稿を本年6月に『地方金融史研究』第53号にて公刊することになっている。 以上のとおり、今年度はコロナ渦の影響で研究活動の一部見直しを余儀なくされたものの、概ね順調に推移し、3本の研究論文を作成し、そのうち2本を公刊することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に掲げた4つの課題、すなわち①国立銀行が4行にとどまった背景の検証、②明治9年の国立銀行条例改正までの時期における国立銀行の経営状況に関する実証分析、③国立銀行条例改正の背景および条例改正が銀行の設立や日本経済に及ぼした影響についての検討、および④海外投資家による国立銀行のありように関する評価、のうち、①から③までの課題については予定どおり研究を進めることができた。加えて、幕末から明治初年にかけての貨幣制度改革に関する研究も実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、幕末から明治前期までに実施された貨幣制度改革に関する研究を進め、明治15年の日本銀行法制定前後における日本の貨幣制度の特色を浮かび上がらせることにしたい。あわせて、可能であれば英国に出張して資料の収集を行い、④の課題についても解答を得ることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集のための英国出張がコロナ渦で取り止めになったため。海外渡航が可能となり次第、速やかに英国出張を行いことにしたい、
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