研究課題
基盤研究(C)
明治期に整備された近代銀行制度の形成過程を文献資料および各種データを利用して明らかにするべく研究を進め、「日本近代銀行制度の成立史」(東洋経済新報社、2023年)を刊行した。もう少し具体的にいうと、江戸時代の大坂で普及した両替商金融の実際について述べた後、明治初年に殖産興業政策のなかで創設された為替会社の意義と限界、さらにはその破綻処理を経て、国立銀行制度が整備されるに至った背景や整備状況を検討するとともに、明治9年の条例改正により日本に近代銀行制度が根付くようになった事由を明らかにした。
金融史
これまでの間、長年にわたって両替商、為替会社および国立銀行という区分のなかで個別に実施されてきた研究を近代銀行制度の整備過程という研究課題のなかで捉え直し、そうした動きを統一的な観点から分析したことが学術的意義として指摘できる。そうした成果は「日本近代銀行制度の成立史」という研究書の刊行を通じて広く公開され、研究成果を社会に還元するという役割を果たしたところに社会的な意義が見出される。