研究課題/領域番号 |
19K01799
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山井 敏章 立命館大学, 経済学部, 教授 (10230301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ドイツ / バーデン・ヴュルテンベルク / 自治体合併 / 地方自治 |
研究実績の概要 |
1970年代はしばしば、資本主義的生産におけるフォーディズム(大量生産・大量消費によって特徴づけられる資本蓄積の体制)からポスト・フォーディズムへの転換期とよばれている。本研究は、この転換の意味と実態を、とくにドイツの地域政策・地方自治に焦点をあてて検討することを目的とする。 2020年度は、前年のドイツ滞在時に収集した諸史料、とくに西南ドイツ・ヴュルテンベルクの自治体連合体が発行する機関紙 "Wuerttembergische Gemeindezeitung"(1973年よりバーデン・ヴュルテンベルク州自治体連合体の機関紙となり、"Die Gemeinde"と改称)を読み進めた。同紙の刊行は19世紀後半に遡るが、現在入手可能なのは1924年以降のもののみで、第二次大戦中の一部欠落はあるものの、以後2000年までの刊行分を手元に確保した。同紙を通じて、ナチ支配下でドイツの地方自治が破壊されるプロセス、第二次大戦後、政府諸機関が機能不全に陥るなか、自治体が日々の行政の中心的な担い手となって戦後の復興を支えたこと、そして、本研究の中心的対象である1970年代における自治体の大規模な合併の実態などを、自治行政の現場の目から知ることができる。 2020年度は、この史料を読み進めつつ、ドイツの文書館等でさらに史料を収集し、研究成果を論文にまとめる予定であったが、新型コロナ・ウイルス感染の拡大により渡独が不可能になり、さらに授業のオンライン化への対応に多大な時間がとられたため、残念ながら論文作成には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は英文共著への収録論文ならびに日本語論文のあわせて2本の論文を発表することができたが、今年度は残念ながら具体的な研究成果の発表に至らなかった。ウイルス感染拡大のため、予定していたドイツ出張がかなわず、史料収集に支障が生じたこと、また、授業のオンライン化への対応に多大の時間をとられたことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
手元の諸史料を読み込み、学術論文にまとめていく。ウイルスの感染状況、ワクチンの接種状況を見ながら、可能であれば夏期休暇中および春期休暇中の二度、ドイツに出張して史料を収集する。さいわい勤務先大学にドイツ都市連合体の機関紙 "Die Staedtetag"のバックナンバー(1948~)を揃えることができた。先にふれた "Wuerttembergische Gemeindezeigung" ("Die Gemeinde")は中小自治体の連合体の機関紙だが、こちらは大都市の連合体の機関紙であり、自治体合併等に際しての大都市側の反応を知ることができる。これを中心的な史料に加えて研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2020年度に予定していたドイツ出張がウイルス感染の拡大によって不可能になった。また、参加を予定していた釜山での国際カンファレンスも中止になり、予定していた出張費を一切使用しなかった。 (使用計画)史料収集の遅れを取り戻すため、ウイルスの感染状況、ワクチンの接種状況などを見ながら、夏期休暇中と春期休暇中の二度、ドイツに出張する。
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