研究課題/領域番号 |
19K01799
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山井 敏章 立命館大学, 経済学部, 教授 (10230301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自治体改革 / 自治体合併 / 民主主義 / バーデン・ヴュルテンベルク |
研究実績の概要 |
2022年度は、1960/70年代に西ドイツ各州で実施された自治体改革(自治体区域改革)について、以下のような問題認識の下で引き続き研究を進めた。 「計画」と「民主化」。近年の戦後ドイツ史研究は、この時期を特徴づけるキーワードとしてこの二つをあげている。急速な復興の過程でふきだしたさまざまな問題に対処すべく、合理的な「計画」に基づく発展が追求された。自治体改革もこうした思潮のなかにある。効率的な行政、質の高い行政サービスの実現にはより大きな行政単位・計画単位が必要だとの認識の上で、自治体の合同・合併による規模の拡大が進められた。 「民主化」については1968年の学生運動を想起すればよいだろう。政治参加の拡大が政府の側からも市民の側からも求められ、諸種の市民団体、市民イニシアティブが簇生した。自治体改革においては、自治体の行政能力の向上が自治の強化、民主主義の強化につながる議論がなされたが、しかし同時に、自治の担い手としての長い歴史をもつ多数の自治体の解体が自治への市民の参加を損ない、民主主義の基盤を掘り崩すとの懸念・批判も表明された。自治体改革は、「計画」という上からのベクトルと「民主化」という下からのベクトルの間の矛盾が衝突する現場となったのである。 以上のような認識の下で自治体改革のプロセスを追う論文を執筆したが、残念ながら完成には至らなかった。史料の不足が障害となっていたが、幸い年度末の3月にようやくドイツに出張し、史料収集を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大のためドイツへの渡航ができず、史料収集に支障が生じた。ただし、年度末の3月にようやくドイツ出張が果たせ、研究遂行に必要な史料の補足をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
執筆中の論文を完成し、学術雑誌に投稿する。研究の進行状況に応じて、夏期ないし春期休暇中にドイツに出張して史料を収集することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
過年度に予定していたドイツ出張が新型コロナウイルス感染拡大のためできなかった。ただし、2022年3月に渡独して史料を収集しており、その経費(旅費)が年度を越して2023年度分に計上される予定である。
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