研究課題/領域番号 |
19K01801
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
浅野 敬一 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30369946)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高等工業学校 / 地域産業 |
研究実績の概要 |
本年度は、学校史や学校一覧など、各校の基礎的資料の調査と閲覧を優先して行った。対象となる高等工業学校全校の概要が整理できたため、本研究の考える3つのグループ分け(都市型、工業都市型、産地型)を行っている。また、グループ分けに際しての数的基準(人口や製造業就業者の割合など)を検討している。 重点対象とした学校(広島、神戸、熊本など)の所蔵文書については、広島での調査と撮影を行った。広島高等工業については、先行研究も存在することに加え、当時から入学者や卒業者の動向を比較的詳細に整理し分析していることがわかった。よって、広島についての詳細な分析を先に進め、ある程度のフォーマットを整えたうえで他の4校についての調査を進めることで、効率的な研究が可能と考える。 一方で、広島は、呉海軍工廠を始めとする軍関連の技術者需要が強く、このことが学生の就職先にも大きく影響している。これまでの調査では、誘致の主体は広島経済界であり、海軍が高等工業学校の設置を具体的に要求していたか否かは不明である(もちろん拒否する理由はない)。広島の経済界が、当時の技術者の有力就職先であった軍をはじめとする官公庁とどのように関係していたのか、より詳細に検討する必要がある。また、当時(戦間期)は電力の普及期で広島や神戸には開設時から電気科があったが、同時期に設置の金沢には電気科がなく(1939年になって増設)、第一次大戦前に設置のたとえば名古屋も電気科の設置は1929年である。学科構成の違いは、卒業生の進路に影響することはもちろんだが、誘致側の意図を反映するとも考えられる。まずは広島を例に、地元経済界の意向を詳しく分析したい。 文部大臣経験者関係文書については、国会図書館憲政資料室所蔵の牧野伸顕関係文書を調査し、必要部分の電子化を行った。文部省関係文書についても、国立公文書館の所蔵の文書を調査、必要部分の撮影等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集については、一部来年度に予定していたものを含めて実施することができた。一方で、コロナウイルス流行のため、3月から研究会の中止、出張(熊本への資料調査)の中止に直面しているため、これらは次年度実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
現状、コロナウイルスの影響のため、研究会報告と資料調査の時期は未定である。資料の分析を重点的に行うとともに、年度後半に集中して研究を推進できるように時間の確保に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時から所属研究機関に変更があった。そのため、現所属機関の有する多くの書籍・資料を活用できたため、物品費(書籍等の購入費)が節約できた。また、複写資料の電子データ化を安価に行うことができたため、人件費とその他が節約された。これらは、本年度は中止した資料調査のための出張を行うため、次年度に主に旅費として使用する計画である。
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