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2021 年度 実施状況報告書

共有・共創型スペースにおけるイノベーションの収益化プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K01802
研究機関北海道大学

研究代表者

阿部 智和  北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (20452857)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード経営組織論 / コワーキング / コミュニケーション / イノベーション / ワークプレイス・デザイン / 共有・共創空間
研究実績の概要

2021年度は以下の作業を行った.
第一に,前年度の「今後の研究の推進方針」に示した通り,前年度末(2021年2月)に収集したデータを用い,尺度の妥当性に関する検討を進めた.その成果は査読付き学会誌(『日本オフィス学会誌』13(2),25-34)で公表した.これらの作業は以下のデータ収集作業のパイロット調査のひとつとして位置づけられる.
第二に,大規模な質問票調査を年度内に2回実施した.このうち,ひとつの調査は上記のデータ収集(2021年2月実施のパイロット調査)を受け,2021年8月にデータ収集を行った.また,もうひとつの調査は2021年9月にパイロット調査を実施し,2021年12月にデータ収集を実施した.これらの調査では,コワーキングスペースでの知識共有に影響を与えうる,スペースの物理的デザイン(に対する認知)やスペース内コミュニティ,ユーザー間の知識共有が個々のユーザーに及ぼす影響(たとえば,ユーザーのワーク・エンゲージメントや創造性)に注目し,データ収集を行った.
第三に,コワーキングスペースの利用者が,スペース内での交流や共有を通じて,自らの事業の仕組みを確立していくプロセス(ビジネスモデルの創出)を探求するために,ビジネスモデルおよびビジネスモデル・イノベーションに関連する論文のレビュー作業を進めた.加えて,ビジネスモデル・イノベーションを遂げた企業を対象とした事例分析を行い,ビジネスモデルやビジネスモデル・イノベーションの概念枠組に関する理解を深めた.対象企業は,コワーキングスペース等の共有・共創スペースとの直接の関連はないが,本研究課題を遂行する上では,重要な試みのひとつであったと思われる.
第四に,ユーザーがコワーキングスペースを利用し続ける要因に関して分析を開始したが,現状では有意義な結果を得られていない.引き続き2022年度も分析を継続する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

進捗状況が「やや遅れている」と判断した理由は以下のとおりである.
第一に,研究実績の概要で示したように,2回の大規模なデータ収集こそ実施できたものの,尺度開発に関連する論文1本を公表するに留まっている.2回の大規模データ収集の前にそれぞれパイロット調査を行ったが,各調査後に見出された課題の解決に注力したため,それぞれの調査について2度目のデータ収集(本調査)を終え,分析作業の見通しを立てた段階で2021年度末を迎えた.
第二に,前年度から継続して進めている,ワークプレイスについて国内外の研究や調査を渉猟し,ワークプレイスの過去と現在の状況を体系的に整理したレビュー論文,および,その知見を活用した一般向け書籍の進捗も5割程度でとどまっており,公表に至っていない.
第三に,国際ジャーナルへの投稿作業は,論文が採択に至らず,改訂作業を行っているため,当初計画よりもさらに遅れが生じている.
第四に,前年度より継続しているものの,コワーキングスペースの事業継続に影響を与える要因に関する分析は有意義な結果が得られず作業が滞っている.
第五に,その他の分析作業についても遅れが生じている.

今後の研究の推進方策

2022年度は以下の5つの作業を行う.これらの作業を通じて最終年度となる2022年度で計画の達成を目指す.
第一に,前年度に収集した2つのデータの分析結果をまとめ,インパクト・ファクター付き国際ジャーナル(経営学や建築学,(環境)心理学の系のジャーナル)に採択されることを目指す.具体的には,コワーキングスペースのユーザーを対象とした調査データを用い,ユーザーによる知識共有行動や創造性に主に焦点を当てた分析を行い,複数の論文を執筆する.現在,分析作業を進めており,7月から10月にかけて,海外ジャーナルに複数の論文を投稿する予定である.
第二に,スペース内でのユーザー間の相互作用が個々のユーザーによる事業の創出・収益化プロセスに与える影響について主に質的手法を用い,解明を試みる.2021年度に実施した,ビジネスモデルやビジネスモデル・イノベーションに関連するレビュー作業や単一企業を対象とした事例分析の成果を活用し,スペースのユーザーによるビジネスモデルの創出から収益化に至るプロセスを追跡する研究を行う.
第三に,ワークプレイスについて国内外の研究や調査を渉猟し,ワークプレイスの過去と現在の状況を体系的に整理したレビュー論文,および,その知見を活用した一般向け書籍執筆を前年度に引き続き進める.
第四に,複数年度にわたる課題となっている,「コワーキングスペースのスペース空間のデザイン,スペース運営者によるイベントなどの活動実施,利用者間の相互作用とイノベーション創出」に関する研究や「コワーキングスペースの事業継続に影響を与える要因」など投稿や論文採択に至っていない研究を完了させるように作業を進めていく.
第五に,本研究課題の関連課題である国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))との連動を進め,海外の研究者との共同研究にむけた基盤整備を行う.

次年度使用額が生じた理由

2021年度中に予定していた国際ジャーナルへの投稿にかかる費用(主に英文校正)や,同年度内に予定していたインタビュー調査等に一部遅延が生じた.これらの作業(論文投稿や調査)は2022年度中に実施する予定であるため,費用を繰り越すこととした.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 中国のコワーキングスペースにおける利用者行動:尺度開発のための探索的研究2021

    • 著者名/発表者名
      朱荻, 阿部智和, 朴智賢, 李然布ニ
    • 雑誌名

      日本オフィス学会誌

      巻: 13(2) ページ: 25-34

    • 査読あり
  • [備考] 北海道大学コワーキング研究コミュニティ

    • URL

      https://www.facebook.com/rcoc.jp

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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