研究課題/領域番号 |
19K01807
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
石井 真一 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70315969)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際経営 / 製品開発 |
研究実績の概要 |
令和3(2021)年度における研究活動では、理論構築のための学会発表や、論文執筆に向けた連携研究者・海外共同研究者との打合せ・研究会等を含む準備作業と、海外製品開発事例の調査を中心的におこなった。 これらの研究活動では、製品開発という企業の機密事項を扱う点から、調査データの処理・蓄積・公表は慎重に実施してきた。また、本研究の調査内容には工学的な専門用語が少なからず含まれ、また英語でのインタビューもあるため、調査内容の文書化過程ではデータの正確さの確保にも配慮した。調査内容の公表に際しては、調査先企業との共同確認作業や、対象企業の成員も参加する研究会の開催等により、調査内容の正確性を確保し、調査内容の公表が対象企業に不利益をもたらすことのないよう対処した。また、本研究ではインタビュー等のデータの文書化・管理等を研究代表者が直接行った。これらの研究上の方針・手法はこれまですでに実施してきたものである。なお、本研究の方針・手法は、企業活動の歴史的経緯を丹念に解明する研究アプローチに適しており、さらに研究経費の抑制の点等でも有効であると考えられる。 ただし、新型感染症の流行のため、昨年に引き続いて予定していた海外調査・打ち合わせ、国内調査を中止せざるを得なかった。ただし、遠隔対応による企業調査については、国内・海外の拠点に対して実施した。また、遠隔による学会発表や研究公表(論文、書籍)をおこなった。今後はこれらの遠隔対応も取り入れながら、調査活動および研究発表を慎重に対応していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集の中心であるインタビュー調査においては、従来からの自動車企業の海外開発事例に関する追加調査とあわせて、これと比較可能な複数の市場・企業への調査をおこなった。インタビュー調査は従来の実績(2005年以降に延べ約350名に対して実施)をもとに、初年度以降に開発技術者やデザイナー等をおもな対象として国内外でおこなってきた。また、新型感染症の流行以降には対面での訪問調査や学会発表などが制限されている中、これまでのインタビューデータの再検討とあわせて、遠隔対応による調査および研究発表も進めている。とくに遠隔での企業調査については、調査先企業の訪問を通じた訪問先の事業活動の観察を含めた調査対象者との対面によるインタビューを重視する観点から、当初は新型感染症の流行前には取り入れていなかった。しかし、新型感染症の流行によって遠隔による調査を実施したところ、海外等でも比較的柔軟にまた予算もほとんどかけずに実施できるメリットが大きく、現在は恒常的に実施している。また、これまでに収集したデータの再検討や、それらを元に理論構築および学会発表等を通じて、さらなる調査と理論構築を進めた。その成果の一部については、論文、書籍、学会発表等ですでに公表している。
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今後の研究の推進方策 |
まず、企業訪問によるインタビュー調査や研究発表(論文や書籍等を通じた研究成果の公表、および学会・研究会等での発表)を通じて、理論研究と事例研究を推進していく。理論構築では連携研究者・海外共同研究者との討議や学会・研究会等における議論を通じて、データ・理論の妥当性について検討していく。これらを踏まえる形でさらに研究発表や論文執筆等をおこない、本研究を内外で幅広く発信し、国際経営・技術経営分野における理論の発展に貢献していくことを目指す。事例調査では主に北米、欧州、アジア等における現地拠点や国内拠点においてインタビューを行う。新型感染症の終息にはさらに一定期間を要することを前提として、引き続いて遠隔対応も含めた調査訪問や打ち合わせ、研究発表をおこなうことを検討していく。また、状況的に可能となった場合はこれらの活動を対面によって実施することも検討するが、感染症の流行につながることのないように慎重に進め、困難な状況が続くようであれば、遠隔での調査の実施や、本研究の期間の延長等も柔軟に検討していく。なお、本研究で新たに収集する調査データの公表については、内容の正確性や分析結果の妥当性等にも配慮しつつ、調査先との調整・確認作業も行いながら慎重に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型感染症の流行のため国内・海外における訪問調査、打ち合わせ、研究発表等ができなかったため。
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