研究課題/領域番号 |
19K01810
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
鹿住 倫世 専修大学, 商学部, 教授 (00349193)
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研究分担者 |
高橋 徳行 武蔵大学, 経済学部, 教授 (60366838)
河合 憲史 上智大学, 経済学部, 准教授 (20867478) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 女性起業家 / COVID-19 / やり甲斐 / 働き甲斐 / 経営回復 / 事業機会 / IT活用 / SNSコミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究においては、これまで収集してきた文献のレビューおよび関連する専門分野の研究者や女性起業家と意見交換を行ってきた。その結果に基づき、COVID-19のような経営に大きな影響を及ぼすような事態に直面した時、女性起業家は男性起業家と比較して困難に耐え、前向きに状況に対処しているかどうか、やり甲斐や働き甲斐を見失うことなく、経営を継続しているかどうかを明らかにするため、女性起業家および男性起業家に対して、ウェブによるアンケート調査を実施した。具体的には、2021年4月~5月にアンケート調査票を設計し、2021年6月1日~2日に調査を実施した。本調査は、株式会社マクロミルに外注し、マクロミルに登録しているモニターのうち、直近10年以内に独立開業した男女起業家(日本在住者)を対象としている。有効回答数は、女性起業家618件、男性起業家618件である。 本アンケート調査の結果の概要は次のとおりである。回答者の年齢構成は、50-54歳が最も多く15.8%、次いで45-49歳が14.4%、35-39歳が14.2%であった。35歳から59歳が70.2%を占めている。業種は、サービス業が52.4%と最も多かった。事業規模としては、従業員数平均が3.9人、平均年商が405百万円である。回答者の経営する企業の形態は、80.5%が個人事業、19.1%が法人であった。 アンケート調査の回答から得られた主な結果としては、COVID-19の経営への影響は、女性起業家のほうが男性より強く受けているが、特にITを活用している女性起業家は、SNSのコミュニティから苦境を打開するヒントやベストプラクティスに関する情報を得ており、前向きに経営を継続していることがわかった。現在、収集したデータを詳細に分析し、海外ジャーナルへ論文を投稿し、審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大により、海外学会や国内学会へのリアルな参加が困難であったため、関連分野の研究者との意見交換が難しかった。既知の研究者とは、個別にオンラインミーティングなどを行い、情報収集に努めた。さらに女性起業家が集まるような対面のイベントがほとんど中止となり、新たな女性起業家とのネットワークを築くのが困難であった。 そのような状況においても、国内外の先行研究を収集し、レビューを行うことは実行できた。また、研究分担者、研究協力者とも極力、電子メールやオンライン会議で意見交換を行ったが、時差の関係等で時間を調整するのが難しかった。 このような状況においても、研究計画に沿って女性起業家および男性起業家に対するアンケート調査を実施し、集計分析を行うことができた。研究成果のとりまとめおよび発表については、当初の計画よりやや遅れてしまい、2021年度末から海外の関連分野のジャーナルに投稿を行っている。これらは現在、審査中である。また、起業家活動や女性起業家に関する国際学会での研究報告や論文投稿を予定していたが、2020年および2021年に開催予定であった多くの学会が、オンライン開催もしくは延期となったため、2022年度に論文投稿や学会発表を予定している。 以上のように、研究は計画通り進捗しているが、研究成果の発表に関して2021年度内に実施することができなかったため、「やや遅れている」としている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、これまでの研究成果の発表として、海外、国内ジャーナルへの論文投稿および、国内外の学会での研究発表を予定している。 具体的には、'When does Entrepreneurial Tenacity Matter for the Growth of Women-Led Businesses? An Ability-Motivation-Opportunity Perspective'と題する論文を、"European Management Journal"に2021年4月に投稿済みであり、現在、審査中である(研究協力者:河合憲史氏ほかとの共著)。また、2022年7月に、企業家研究フォーラムの2022年度年次大会において、鹿住が研究発表を行う予定である。さらに、アクセプトされれば、2022年8月にスイスのサンガレン大学で開催される、Rencontres de St-Gallに参加し、研究報告を行う予定である。2022年6月末までに論文をサンガレン大学に送付する必要があり、現在、執筆中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由は、2021年度に開催予定であった国際学会が2022年度に延期になったため、および研究成果のとりまとめに時間がかかり、国際ジャーナルへの論文の投稿が遅れたためである。2022年度は、国際学会への参加および国際ジャーナルへの論文投稿を行う予定である。 2022年度に繰り越した450,000円は、国際学会への投稿論文の校閲料、国際学会への参加費および参加のための旅費、国際ジャーナルへの論文投稿料に使用する計画である。
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