自動車部品サプライヤーの製品範囲・顧客範囲拡大戦略と経営成果に関する研究

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K01813
• 研究機関: 法政大学
• 研究代表者: 近能 善範 法政大学, 経営学部, 教授 (10345275)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: サプライヤー / 製品範囲 / 顧客範囲 / 自動車産業

研究実績の概要

本年度は、①㈱アイアールシー発行の『主要自動車部品の生産流通調査』84年版・87年版・90年版・93年版・96年版・99年版・02年版・05年版・08年版のデータ、②(社)日本自動車部品工業会の『日本の自動車部品工業』の1969年版から2009・2010年版のデータ、③特許調査会社である㈱国際技術開発センターを通じて購入した、1983年から2009年までに自動車メーカーが出願した特許データと、同期間中に部品サプライヤーが出願した特許数のデータ、および自動車メーカー・部品サプライヤーの共同特許データをもとに作成したパネルデータを、さらに企業レベルで（部品サプライヤーごとに）名寄せして集計し直したデータセットを構築し、「顧客範囲」(Customer Scope)と「製品範囲」(Product Scope)のそれぞれの軸を通じた多角化が部品サプライヤーの企業業績に及ぼす影響について、定量的な分析を行った。
具体的には、企業ごとに、1993年から2005年にかけて、「製品範囲」と「顧客範囲」の二つの変数がいかに変化したのか、それにともなって当該企業の各種パフォーマンス指標がどのように変化したのかを検討した。まずは結果を図示した上で、探索的に仮説を立て、重回帰分析等の定量的手法を用いて検証しているところであるが、今のところ興味深い結果は得られていない。そのため現段階では、㈱アイアールシー発行の『日本自動車部品産業の実態』93年版・97年版・00年版・04年版・07年版・10年版等、別の資料からのデータを追加し、データセットの拡充を図っているところである。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍で大学図書館、公共図書館（特に国会図書館と東京都立図書館）の利用が制限されてしまい、資料の探索、データの入手に多くの時間を要したため。また、コロナ禍で、企業訪問やインタビューがほとんど実施できなかったことも、研究の遅れを引き起こした。

今後の研究の推進方策

本年度（2021年度）は、引き続き企業レベルでの集計データを整備した上で、定量分析を行い、結果をまとめ、ディスカッション・ペーパーの作成・公表を行いたいと考えている。
来年度（2022年度）は、定量的な分析によって得られた結果をフィードバックし、また背後にあるロジックを含めて正確に解釈するために、自動車メーカーおよび主要サプライヤーへのインタビュー調査を精力的に行っていきたいと考える。また最終年度なので、並行して、国内外の学会での発表や、ジャーナルへの論文投稿を進めていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

理由：2020年度に行う予定であったインタビュー調査、および同期間に発注する予定であったデータ入力・加工作業が、新型コロナウィルス感染拡大や図書館等の利用制限によりできなかったため、予算が余る結果となった。
使用計画：データ入力・加工作業については、本年度中に発注する予定である。インタビュー調査については、新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除された後に再開したいと考えているが、それが難しい場合はZoom等によるネット対応により代替したい。その場合、出張予算が余ることになるが、その扱いについては別途検討したい。