研究実績の概要 |
2023年度は,最終年度としてこれまでの研究の総括をするとともに,国際学会への参加や国内・国際調査を実施した。 国際調査としては,5月にトヨタUKのエンジン工場と車両工場で実態調査を実施した。ここでは三本柱活動が海外子会社現場マネジメントの基礎を構築し,それがより高いレベルのイノベーションの実施に役立っていることが確認できた。9月にはドイツ,シュトットガルトでメルセデスベンツを対象とした実態調査を展開した。ここでは,自動車産業のデジタル化・ソフトウェア化の実態を最先端のドイツ企業を対象として調査することで日本企業の今後の課題を導き出すことを目的としていた。この結果,世界10カ国にソフトウェア開発のブランチオフィスを構え,世界の技術・顧客動向をモニターしているドイツ企業と比べた日本企業の対応の遅れが明確となった。 日本国内では,トヨタのグローバルでの知識移転のベースとしての三本柱活動を構築した上郷工場での実態調査,さらにはこれと関わるトヨタOBに対するインタビュー調査を展開した。上郷工場の部長クラスから現場リーダーである工長クラス,さらには現場作業の経験者などを含めて計16人に対するインタビューを展開した。 研究成果の出版という点においては, Operational foundation for TPS implementation: Toyota’s Three Pillar activityと題する論文がAcademy of Management Meeting, 2023で報告がなされている。この論文は,世界最大の経営関係の学会である当学会のオペレーション&サプライチェーン・マネジメント部門でBest paper award のrunner upへと選出されている。
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