研究課題/領域番号 |
19K01816
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
小山 嚴也 関東学院大学, 経営学部, 教授 (60288347)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 戦略的フィランソロピー / 地域企業 / SDGs / ブランディング / 採用活動 / ソーシャルキャピタル |
研究実績の概要 |
本研究は「日本の地域企業における戦略的フィランソロピーの新たなモデル」の構築を目的としており、2019年度は、まず、先行研究、具体的には国内外の戦略的フィランソロピーおよびコーズ・リレーテッド・マーケティングに関する文献の渉猟と検討を行った。地域企業、中小企業のフィランソロピー研究は非常に少ないものの、いずれも大企業のフィランソロピーとは異なる性格を有す可能性が指摘されていた。 文献調査と並行して、7月には横浜型地域貢献企業に認定されているA社に対して1回目のヒアリングを実施した。同社はSDGsに積極的に取り組んでおり、その一環としてフィランソロピーが位置付けられていた。2月にヒアリングを実施した福島県いわき市のB社ではフィランソロピーをブランド認知の向上とブランドイメージの強化に利用していた。同じく2月にヒアリングを実施した富山県富山市のC社ではフィランソロピーを採用活動に結びつけていた。 他の研究者との意見交換は次のとおりである。8月末に開催された経営哲学学会では、群馬県高崎市の中小企業のフィランソロピーに関する調査を行っている研究者たちと意見交換し、中小企業のフィランソロピーはソーシャルキャピタル形成に寄与している可能性があるとの見解を得た。県立広島大学での研究者との意見交換では、消費財メーカーの場合、メディア露出により、購買意思決定時の想起集合に入ることを狙っている可能性があるとの知見を得た。北海道大学での研究者との意見交換では、これまでの調査で得られた知見についての整理検討が行われた。 こうした研究を踏まえ、地域企業が想定するフィランソロピーの成果をある程度特定することができ、3月に「地域企業における戦略とフィランソロピー」というテーマでその一部を整理し、日本経営倫理学会全国大会へのエントリーを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査については、順調に進んでおり、当該研究分野における研究状況については、ある程度の理解を得るに至った。 ヒアリング調査については、当初予定していた横浜型地域貢献企業数社への予備調査がかなわず、A社に対する1回のみとなった。これは2月に申請者、調査予定企業が深くかかわった「第6回横浜共創オープンイノベーションフォーラム」「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」が開催されたことにより、調査日程を設定できなかったことに起因する。他方で、当初、予定していなかった福島県いわき市のB社、富山県富山市のC社へのヒアリング調査を実施し、有益な情報を得たため、研究自体は進展した。 研究者との意見交換については、いずれの研究者からも研究上有意義な示唆を得ることができた。特に、当初、予定されていなかった群馬県高崎市の中小企業のフィランソロピーに関する調査を行っている研究者たちと意見交換では、今後の研究の進め方に対する大きなヒントを得た。 横浜市担当部局等へのヒアリング、和歌山大学での意見交換は時間の調整がつかず実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については、2019年度に実施できなかった横浜型地域貢献企業数社への複数回のヒアリング調査を行うとともに、そのうちの1社に対して、より踏み込んだ調査を行う予定である。また、当初の計画に従い、横浜以外の地域の企業に対するヒアリング調査を行う。 日本経営倫理学会全国大会での発表が認められた場合、これまでに得られた知見の一部を整理し報告する予定である。さらに、7月までに学内の紀要にこれまでの研究成果をまとめた論文を投稿する予定である。 なお、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況によっては、上記の研究計画は大きく変更せざるを得ないことが想定される。そのような場合には、文献調査、研究者とのメール等での意見交換、論文執筆を中心に研究を進める。
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