研究課題/領域番号 |
19K01818
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
上野 正樹 南山大学, 経営学部, 准教授 (90379462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際経営 / 経営戦略 |
研究実績の概要 |
輸送機械・電気機器・情報通信分野で、2010年以前にインド進出済みの主要日本企業17社を抽出した。これらの企業はインドに73子会社を設立している。そして、このうち外部顧客への販売は23子会社がおこなっている。この17社23子会社の財務データについて10年分を収集した。収益性にはEBITDAマージン、ROS、ROAを算出した。成長性には売上高CAGR5年を算出した。 この結果、判明したことは次である。第一に、業界のグローバル大手よりもグローバル中堅のインド子会社の収益性および成長性が著しく高い。グローバル大手のインド子会社は収益性が低く、苦戦している。第二に、グローバル大手企業の中では周辺事業(全社売上高比率で2割以下)のインド子会社の収益性および成長性が著しく高い。 なぜこのような結果になるのだろうか。先進国で成長を遂げ、巨大になった企業は、先進国顧客にうまく適応したきた。それゆえにインドのような新興国の顧客には適応できないと考えることができる(価格や品質が新興国顧客に合わない)。 上述の考察を詳しく検討するため、ホンダ二輪インド事業の成功要因の探索を始めることにした。ホンダ四輪はインドで苦戦する一方、周辺事業の二輪はインドで成功をつかんでいる。そのロングヒットのスクーター(アクティバ)がどのような製品なのかを分析した。それは都市向けのスクーターで競合よりも品質が高い。そして経済性に優れるエンジンなどの基本技術がインドの顧客に適していることがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、インドの日系のみならず、インド企業や中国企業、韓国企業も分析に含める予定であった。しかし、主要日系の財務データ分析から、意外なことが分かってきた。大手よりも中堅、主要事業よりも周辺事業の経営業績が優れている。その理由を探索する必要が出てきたため、特定企業の成功要因の探索を始めた。この結果、当初の予定に対してやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究体制に大きな変更があり、2021年度からインドで在外研究を始めた。そのため、いくつかのインド子会社に訪問する機会ができた。つまり日系インド子会社の詳細を研究できる可能性が高くなった。そこで、複数の国のインド子会社の財務分析を広くおこなうより、いくつかの日系のインド子会社を詳しく分析するようにしたい。インタビューや工場見学を通じて、なぜ苦戦しているのか、なぜ成功しているのかを追求したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
利用を予定していたデータベースの契約費が他の研究資金でまかなえたことがある。なお研究を遂行する環境が大きく変わり、2021年度からインドで在外研究を始めている。当該助成金をもとにインドで日系企業調査をおこなう。ただし、当初計画の3年目は現地調査を予定していたので、インドでの在外研究と矛盾しない。
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