研究課題/領域番号 |
19K01818
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
上野 正樹 南山大学, 経営学部, 准教授 (90379462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際経営 / 経営戦略 |
研究実績の概要 |
インド進出日系製造企業の経営業績要因の解明に取り組んだ。製造3業種(輸送用機器、電気機器、機械)の連結売上高上位30社ずつ、親会社90社、そのインド子会社176社の財務データベースを作成した。具体的には子会社がインド会社省に提出した財務報告書(2005年度~2020年度)をすべて集め、売上高、税引き前利益、税引き後利益、総資産、そして立地州と産業コードからなるデータベースを作った。 総資産利益率の変動を要因に分解する研究に従い、分散分析の方法で、5つの要因効果を測定した。年、地域、産業、親会社、子会社の5つである。ラグとラグ無しのモデル、売上高利益率を従属変数にとったモデルも比較し、頑健な結果が得られることがわかった。また先行研究として、米国と中国における日系子会社の分析結果と比較し、類似の部分とインドに特徴的な結果も得られた(インドは中国よりも年効果が大きく、毎年のマクロ経済状況が総資産利益率に影響を及ぼしている)。最後に、時期別、親会社の業種別の分析をおこなった。 上記の分析によっていくつかの発見事実をえることができた。新興国事業について制度的環境の影響、産業の発展度合い、子会社の経営努力などがさまざまに論じられている。本研究から総資産利益率に対する年、地域、産業、親会社、子会社の効果量が判明した。これによって何が新興国事業のキーファクターなのか、何に焦点を合わせて研究するのかという含意を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日系製造企業90社、そのインドの176子会社、16年分の財務データベースを作成し、分析を進めた。他の国籍の企業(インド、韓国、中国企業など)については財務報告書を収集するまでには至らなかった。その理由は、日系の財務報告書の入力作業に多くの時間を要したからである。とくにバランスシートの形式が2010年度前後で異なり、2010年度以前については総資産の計算に手間がかかった。しかし176社、16年分のデータ分析から、いくつかの発見をえることができた。。
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今後の研究の推進方策 |
確立された分析方法と構築したデータベースをもとに、インド進出日系製造企業の経営業績に関する分析が進展した。これをもとに論文化を進める。また2021年4月から研究留学でインドに来ている。2022年度も引き続きインドに滞在を予定しており、新型コロナの状況を注視しながら、企業訪問調査(インタビュー)を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年4月からインドのジャワハルラール・ネルー大学に研究留学することになった。研究最終年度に予定していたフィールド調査を目的に、留学先をインドに選んだ。しかし新型コロナのパンデミックで、ロックダウンや外出禁止令が敷かれた。企業も出社制限や来客制限に従っているため、フィールド調査は断念した。そのため、次年度使用額が生じた。
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