研究課題/領域番号 |
19K01822
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
徳田 昭雄 立命館大学, 経営学部, 教授 (60330015)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CPS / CPMS / 人間中心 / デザイン / 意味 / 価値 / 標準化 |
研究実績の概要 |
本年度は、学内外の共同研究者とともに、既存のサイバーフィジカルシステム(CPS)研究が,技術システムの観点から,使用する人々は主に解析の対象として扱う技術偏重であったことを指摘し,社会を構成する人々に焦点を当て人々の意味解釈に注目する「人間中心的CPS」として,サイバーフィジカルミーニングシステム(CPMS)を提案してきた。また,現在すでにサービスとして提供されている医療健康分野のCPS及び,移動交通分野の CPSであるMaaSの事例を紹介し,CPMSモデルとどのような違いがあるかを検討した。 る。 本年度の活動による理論的インプリケーションは,CPS 研究を人文社会科学の視点から議論する道を開拓したことであると言える。本稿がデザインの理論を応用したように,既存研究では扱われなかった社会科学や心理学,文学等の様々な「人間」に関する理論が CPS 研究に応用されることで,より人々にとって豊かな CPS が実現し,社会的受容が進むことが期待される。また,実践的インプリケーションとしては,CPS に意味空間という概念を組み込んだことである。この意味空間はスマートフォンが人々に提供する空間と同様であることから,CPS のプラットフォームおよびエコシステムがスマートフォンと同様の性質を持つ可能性を示唆するものである。 その他、「産業クリエーションのための国際標準:日本の強みをどのように活かせば良いのか 」と題して、『産業技術総合研究所 標準化シンポジウム』に登壇し、日本における標準化研究及び実践の到達点と課題について議論を深める機会を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① 「国際標準総合戦略」の成果を定性的・定量的に検証する。特に「標準の業際化」という観点に的を絞り、その観点がそもそも抜け落ちてしまったり、それを阻んでしまったりする要因については、システムデザイン・マネジメントの視点からその原因を明らかにできた。 ② EU および米国の標準化政策および、業際標準策定プロセスに関わる産官学協働エコシステムの実態調査について、本研究ではCPSの産官学協働のエコシステムとして、EU についてはECSEL(Electronic Components and Systems for European Leadership)、米国についてはNITRD(Networking and Information Technology Research and Development)と称される官民パートナーシップによる研究プログラムを取り上げているが、コロナ禍による渡航制限にあって、文献渉猟以外の活動、すなわちヒアリング調査に基づいた質的研究が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
①これまでの研究では、人々を中心に置いたミクロの CPS のみを対象としたものであり,本来あるべき社会全体を包括するマクロの CPS との接続に関しては議論できていないため、今後の研究として,CPMS がマクロの CPS とどのように接続し,マクロのビッグ データの利用やセキュリティの課題等を具体的に議論していく。 ②欧米的標準策定プロセス、すなわち1)アカデミア主導により、目的基礎研究における汎用性の高いセクター跨ぎの研究ドメイン設定、2)産学官連携による業際的レファレンスモデル、アーキテクチャ、ミドルウェア、相互接続性、システムデザインのメソッド、ツール、言語、認証方法etc.の策定、3)その成果の一部を固定的に一定期間利用(標準)、4)「非競争領域」の産業化適正規模確保、新産業創造、SoSs形成時の共通のアーキテクチャ、5)標準を産業コンソーシアムに落とし込み、各セクター/コンテクストに応じてカスタマイズ(作りこんで)利用に特徴付けられる「普遍から個別、抽象から具体」モデル」の日本産業界への適用を図る。 ③具体的には、CPSF(cyber physical security flamework:サイバーフィジカル・セキュリティ対策フレームワークのドメインに適用される標準策定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による海外渡航調査の未実施による。 来年度は海外調査の実施及び研究成果のアウトリーチ、そして関連研究会の開催に支出する。
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