本研究は製品・工程ライフサイクル説(Abernathy,1978)の深化に次の3点から貢献した。第1に、本研究がアメリカの自動車産業を事例に成熟期、転換期を解明に取り組んだことで先行研究との連続性が保たれ、経路依存的な要素を具体的に解明したことである。第2に、アメリカ自動車産業はIoTやAIといったイノベーションや競争優位を大きく左右する可能性のある動向をも包含したため、本研究は今後の多国籍企業の戦略に示唆を与えうることである。第3に、製品・工程ライフサイクルの成熟期・転換期のイノベーション、組織能力と企業の戦略形成プロセスをアメリカ、中国、インド、東南アジアと多方面から検討したことである。
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