研究課題/領域番号 |
19K01844
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
山崎 秀雄 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30366968)
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研究分担者 |
遠藤 健哉 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (60265775)
山田 敏之 大東文化大学, 経営学部, 教授 (10453664)
周 ヒョンジョン 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (30512800)
横尾 陽道 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (30382469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経営学 / イノベーション / 共創 / 組織学習 / 越境学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本の製造企業を対象に,共創の能力(オープンイノベーションを推進する組織の能力)の発揮を促す組織マネジメントのあり方を定量的に把握することにある。本研究では,2016~2018年度の科研費課題「企業のイノベーション創出プロセスと組織における多様性の研究:吸収能力の視点から」(基盤研究(C),課題番号:16K03902)の研究成果をさらに発展させる試みを行ってきた。 2016~2018年度の科研費課題では,研究成果の一部として,研究開発集約度の高さは社外知識の活用度と関係があり,社外知識の活用度は創造的な組織学習の活発さと一定の相関がある,といったことが明らかになった。これらを踏まえ,2019年度は研究分担者と研究会を開催し,前記課題において着目した社外知識の活用度合いだけでなく,機会を感知して社内外の知識を新事業創出のために結合させる,あるいは,越境学習を行う従業員をイノベーションの実現に有効活用するうえで重要となる組織の仕組みやプロセスに関して検討を行った。また,そうした検討結果に基づき,日本企業を対象としたアンケート調査を郵送法により実施した。 本実施状況報告書を作成している2020年5月現在,回収したデータの統計分析等を行っているところである。一次集計の結果,例えば越境学習を従業員に推奨することは,従業員の挑戦意欲や権限委譲の度合い,加点主義の評価システム,社外組織からの技術・知識の活用度といったファクターと一定の関係がみられた。今後さらに検討を進め,分析結果を論文としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度における進捗状況は以下の通りであり、やや遅れている状況である。 (1)研究会の開催 研究分担者が,それぞれの担当パートについて検討した内容を持ち寄り,2019年9月29日に研究会を開催した。実施するアンケート調査について、論点の確認,および検証すべき仮説や具体的な質問項目等に関する議論を行った。その後,Eメール等で連絡を取り合いながら,質問紙の内容および送付先リストの確定を行った。 (2)アンケート調査 今回調査では、タイトルを『「共創のマネジメント」に関するアンケート調査(2)』とし、2019年11月22日に質問紙を発送した。質問紙は,純粋持株会社を除く上場製造企業(事業持株会社含む)もしくは持株会社傘下の製造業を営む大企業(計1,261社)に郵送したが,回収状況は例年に比べ低調であった。そのため回答期限を延長し,Webアンケートも併用して企業への督促を試みたが,新型コロナウイルス感染拡大の影響等もあり,回答数は2018年度調査に比べ9件減少し,93社からの回答となった。 回答期限を延長したこと,また,新型コロナウイルス感染予防の観点から研究会の開催を中止したこと等により,アンケート調査で回収したデータの統計分析等を年度内に終えることができなかった。その点で,進捗状況にやや遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,まず,2019年度のアンケート調査の分析をさらに進め,7月中をめどに結果を論文としてまとめる予定である。 並行して文献調査を継続するとともに, 2020年度に実施するアンケート調査の論点と質問内容について研究分担者と検討する。7月~9月をめどに質問内容と調査対象企業リストの確定を行い、10月~11月に質問紙を発送、12月~翌年1月をめどにデータを回収した後,2月~3月にかけて,研究分担者と協力して統計分析および結果の解釈を行う予定である。なおアンケートの実施においては,2019年度と同様,効率的な調査遂行のため,印刷,発送,回収等の作業を専門業者へ委託する。 また,新型コロナウイルス感染の状況を慎重にみながらの判断となるが,ヒアリング調査についても準備を進めたいと考えている。2019年度のアンケート調査で特徴的な回答のあった企業群の中から対象企業を抽出し,共創の能力の発揮を促す組織マネジメントのあり方という観点から,ヒアリングによるディープ・サーベイの実施も検討する予定である。ヒアリング調査では,過去のアンケート調査である程度示された傾向の確認も,可能な限り行いたい。 2021年度もほぼ同様のスケジュールで研究を進めるとともに、3年間の調査結果からより精緻な理論構築を試み,本研究の総括となる報告書の作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月,3月に予定していた出張や研究会が,新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期もしくは中止となったこと等が理由で,次年度使用額が生じた。これらは,新型コロナウイルス感染の状況を慎重にみながらの判断となるが,2020年度に研究会実施のための資料収集やヒアリング調査のための出張旅費等の一部として使用する予定である。
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