研究課題/領域番号 |
19K01845
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
積田 淳史 武蔵野大学, 経営学部, 准教授 (10635676)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イノベーション・マネジメント / セレンディピティ / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究【イノベーション・マネジメントにおける偶然の研究】の目的は、イノベーション創出過程における「偶然」(幸運、セレンディピティ)の内容や因果関係を明らかにし、既存のイノベーション・マネジメント研究と統合させた発展的理論を構築することである。この目的を達成する為には①統一的理論の構築、②「偶然」と呼ばれる現象の究明、という2つの克服すべき課題があり、2019年度は②「偶然」と呼ばれる現象の究明を目指し、イノベーション創出事例に関わる既存研究や文献(新聞、雑誌記事等)を広く集め、テキスト分析と統計分析を行い、偶然の内容・特性・頻度・影響等を調査した。
具体的には、イノベーション・マネジメントの研究開発プロセスに焦点を当てた、一橋大学イノベーション研究センター編『大河内賞ケース研究プロジェクト』全34ケースのテキスト・コーディングおよびテキスト分析を行い、テキスト・コーディング時のマニュアルを作成した。過去事例のテキスト分析は本研究の要となる研究であり、そしてテキスト分析を実施する為にはテキストの電子化とコーディングが不可欠な作業である。というのも、本研究では既存研究が見落としてきたセレンディピティ(偶然)の究明を大きな目的の一つに掲げているため、既存研究の再検討がそのまま本研究の目的達成に直結するからである。ケース34本という膨大な量のコーディングと分析が終了したことは、本研究の進捗にとって大きな意義がある。また、テキスト分析は申請者が単独で実施できるが、テキストの電子化とコーディングにはリサーチ・アシスタントの協力が不可欠であるため、マニュアルが完成したことも本研究の進捗にとって意義がある。次年度以降の研究遂行が円滑に進められるからである。
公表可能な実績は国際学会発表1編となるが、上記のように研究自体は大きく進捗したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度冬頃までは順調に研究が遂行できたが、外出自粛等の影響で、冬~春にかけて研究が遅延した。当初予定では、2019年度はテキストの電子化・コーディング・分析に力を注ぐ予定であったが、テキスト収集を実施できないため、その後の作業に移れないからである。
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今後の研究の推進方策 |
資料収集が安全に可能になるまで、当初予定のテキスト分析は一時的に停止し、電子的にアクセス可能な既存研究の理論的検討に当面は注力したい。状況が落ち着き次第、当初予定に復帰する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金のみ、およそ半額を利用しなかった。本研究では、テキストの電子化およびコーディングにリサーチ・アシスタントを雇用する。大学の夏期休暇と春期休暇に集中的に実施する予定であり、夏期休暇時には実施したが、春期休暇時には実施できなかった。次年度以降、状況の落ち着き次第、実施したい。それ以外の費用は概ね、想定通りに利用した。
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