研究課題/領域番号 |
19K01845
|
研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
積田 淳史 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (10635676)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | イノベーション / イノベーションマネジメント / セレンディピティ / 幸運 / 偶然 |
研究実績の概要 |
2021年度は、コロナ禍によりリサーチアシスタントを雇用できず、具体的な研究実績を積み重ねることはできなかった。そのため、2021年度後半に研究計画を見直し、当初は予定していなかった、関連領域のレビュー論文の執筆に着手した。
イノベーション創出プロセスにおいて、幸運や偶然と解釈される「セレンディピティ」の存在が多くの文献で示唆されているし、ジャーナリストによるアネクドート集のような文献は存在するし、セレンディピティを直接に扱った研究もわずかながらに存在するが、少なくとも経営学領域においては、既存の経営戦略論/経営組織論/イノベーションマネジメント論などを参照しながら体系的に論じた理論的研究は見当たらない。そもそも偶然や幸運が研究対象として成立しえるかどうかも、十分に論じられていない。そこで、この空白に寄与すべく、セレンディピティとは何か、それはどれほど普遍的な存在なのか、それを科学的・理論的に探究する意義は何か、具体的にどう研究するのか、等をトピックにしたレビュー論文として構想し、執筆に着手した。特に重要なのは、セレンディピティの内容と普遍性であり、コロナ禍以前の研究成果をもとに論じつつ、研究対象としての重要性を論じる。セレンディピティはアイデア創出段階で多くみられるので、組織論や研究開発論との関連についても論じる。
現在、初稿が完成しているので、知人の研究者にフレンドリー・レビューを依頼している最中である。その後、2022年度に小規模な研究会での発表を経て、2022年度前半に投稿予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
【本研究の目的(概要)】 本研究の目的は、既存のイノベーション・マネジメント研究が見過ごすか過小評価してきた「偶然」に関連する現象や概念に光を当て、偶然に関する理論を構築して既存研究と結び付け、イノベーション・マネジメント研究を発展させることである。 【本研究の作業】①既存研究のテキスト分析、②テキスト分析結果に基づく統計分析、③既存研究で登場した事例の追加調査・再調査、④新規事例の調査 【当初の進捗予定】2021年度までに、①②を完了し、③に着手する予定であった。 【実際の進捗】2020年度および2021年度は、コロナ禍のために研究の進捗が大きく遅れた。特に、リサーチアシスタントを雇用して実施する予定であった、①②の前作業であるテキストの電子化と誤字脱字等の修正作業が大きく遅れた。また、①②の遅れに伴い、③の着手も現状、十分ではない。 【具体的な進捗】事例調査を一件、進行中である。/個人で進められるレビュー論文の執筆に着手し、2022年度前半に投稿予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目的を大きく変更せずに研究を遂行するために、研究機関の延長も想定しながら、まずはテキスト分析に注力して研究を推進する。事例分析についてはコロナ禍の様子をみながら依頼を行い、先方に不利益が生じないように配慮して進める。必ずしもインタビューやフィールドワークが実施できるとは限らないため、客観資料の多い事例を選定し直すこととする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍に起因し、リサーチアシスタントを雇用できず、人件費・謝金を利用しなかったため。
|