研究課題/領域番号 |
19K01857
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30171507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 組織文化 / 見通し指数 / コーホート効果 / 国鉄経営破綻 / 国鉄分割民営化 / JR東日本 / シミュレーション / 文化変容 |
研究実績の概要 |
この研究計画は、十年以上の長期にわたって企業を観測、観察して、重要成功要因が組織文化として定着する組織的プロセスを研究しようというものである。2019年度は、これまで収集した多くの企業の調査データや資料を再整理することで、組織文化は、かなり安定的ではあるが、それでも組織構成員の特性によって、組織構成員の勤続年数とともに変化していくコーホート効果も認められることを「見通し指数」のデータで明らかにした。こうした「見通し指数」に関する研究成果は、組織学会年次大会で報告するとともに、Discussion Paperにもまとめられた。さらに組織学会のジャーナルにも高橋(2019)として掲載された。 また事例研究としては、旧国鉄の経営破綻及び分割民営化後のJR東日本の事例などを再整理することで、経営史的な観点からも組織文化の定着プロセスに迫ろうとした。この研究成果は、鉄道史学会の大会で報告するとともに、Discussion Paperにもまとめられた。これについても英文ジャーナルにTakahashi (2019)として掲載された。 これらに加えて、理論研究にも着手している。かねてより、組織文化の変容や維持についての理論モデルの検証をコンピュータ・シミュレーションを使って行ってきたが、そうした流れと研究成果についても整理を始めている。本来は、2020年3月に開催予定だった組織学会と研究イノベーション学会の九州部会で報告するはずだったが、新型コロナウイルスの関係で夏休み以降に延期になってしまった。しかし、その一部は英文ジャーナルにTakahashi (2020)として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、まだデータや資料の整理を地道に進めている段階のはずだったが、複数の学会で報告する機会に恵まれ、また論文3本がジャーナルに掲載されるなど、当初の計画以上に研究が進展し、研究成果を発表できているから。
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今後の研究の推進方策 |
2020年4月以降、新型コロナウイルスの影響で大学のキャンパスは封鎖されており、大学の研究室に置いている資料、図書を利用できない状況が続いている。こうした不自由な状況下で、いかにして研究を進められるのか、模索している最中だが、幸いなことに、研究計画の一環として、2019年度に、ある程度の資料のpdf化を進めていたので、しばらくは、そうした電子資料を中心に地道に整理する作業を続けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの関係で、2020年3月に報告を予定していた学会が夏以降に延期となり、また、海外からの図書・資料の調達までがキャンセルになったため。新型コロナウイルスによる自粛が一段落すれば、2020年度に使用する計画。
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