研究課題/領域番号 |
19K01857
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30171507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 創発的戦略 / DX / 脱炭素 / ガソリンスタンド / テレワーク / マルチハビテーション / マルチオフィス / コロナ禍 |
研究実績の概要 |
今年度は、具体的に企業の事例研究を行い、論文「脱炭素時代を生き残るガソリンスタンドの創発的戦略」をJSTが運用を開始したプレプリントサーバ Jxiv にて公開し、既にジャーナルからアクセプトされている。その事例研究の内容を要約すると、日本では、価格競争によりガソリンで利益の出なくなったgas station (GS)は四半世紀で数が半減した。追討ちをかけるように、日本政府は2035年にガソリン車とディーゼル車の販売を終了する方針を掲げた。そんな中、GSの会社ヤマヒロは、(A)傘下のGSを油外サービスで、車検・点検、洗車・コーティング、レンタカーの3グループに分け、各店舗の訴求サービスを絞り込んで専門性を高め、(B)セルフ式GSにもかかわらず、店頭の人員を減らさずに、車番認証システムと車両情報管理システムを連動させて、油外サービスの利益向上につなげ、(C)レンタカー事業と中古車販売事業にもその車両情報を活用してシナジー効果を生み出し、(D)石油元売から不採算店を従業員丸ごと引き受けて再教育して立て直すことでGSの数を増やしてきた。こうして、東京圏で業容を拡大するとともに、利益の40%を油外サービスから稼ぎ出すまでになった。 また、コロナ禍で、テレワークが話題になるが、実は1990年頃の日本でも同様のマルチハビテーションが注目された。実際には、どこに住むかではなく、どこで働くかが重要だった。しかし、こうした教訓は組織文化として定着しなかった。いまやテレワークはコロナ禍で在宅勤務と同義語のようになってしまった。しかし、テレワークにおいては、自宅もしくは自宅近くで働くことよりも、マルチオフィスを実現することの方が重要である。それは30年前もそうだったし、コロナ禍以降でも変わらない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例研究が進んでいるので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
さらに事例研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で出張等ができなかったが、次年度は、その分も出張することを予定している。
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