研究課題/領域番号 |
19K01863
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
北島 啓嗣 福井県立大学, 経済学部, 教授 (60398980)
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研究分担者 |
川本 真哉 南山大学, 経済学部, 准教授 (60468874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 両面市場 / プラットフォームビジネス / トートロジー / 直接ネットワーク外部性 / 企業境界 / 間接ネットワーク外部性 / 料率問題 |
研究実績の概要 |
本研究は大きくフランチャイズシステムに関する部分と両面市場性に関する部分とに分かれる。このうち、両面市場性に関する部分について、今年度は文献研究とメンバー内外とのディスカッションについて現在の理論的な到達点と概念的には議論の余地、深考する必要性のある概念を仕分ける作業を精力的に行っている。 その成果として、まず両面市場性の基礎論文を確認し、その概念としてネットワーク市場性をキータームとしてその優位性を構築するが、そのためにその料率設定が問題であり、それがトランザクションの量を規定する。しかし、その両面市場性を活かすプラットフォームビジネスの現状に関する論考、理論には現在まだ不備のある部分が多い。多くの論考は、事例は多いが精緻化できていない。製品・サービスの売手と買手の取引を仲介するもので、「両面市場」また「プラットフォーム市場」)とよばれる「プラットフォームが二つのカテゴリーの最終ユーザーに仲介サービスを提供する市場」であるが、なぜこの両面市場が、アクターに選択されるのか。また、企業はプラットフォームを構築することを選び、従来の垂直統合形態を選択しないのか。前者の既存研究の説明はトートロジーである。また後者に関してもネットワーク外部性はプラットフォームの形態だけに観察できるわけではなく、他の組織形態でも達成可能であるところからプラットフォームの優位性そのものの説明にはなり得ない。 本研究では両面市場性を広く捉え、ネットワーク外部性、スイッチングコストなどの関連概念を一つ一つ確認し、概念の深厚をはかる作業を行った。結果、両面市場性には、正負零のパターンがそれぞれあり、両面であるから9通りに類型化される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、定性研究に関する部分は、年度末からのコロナ禍の影響が大きく、頓挫、停滞している。フランチャイズシステムに関する部分に関しては、この影響は特に大きい。実務者へのインタビュー、訪問調査を主たる研究方法に設定している故である。 両面市場性に関する部分を先行させ、今年度は文献研究と現在の理論的な到達点と概念的には議論し分析作業を行っている。理論面においては、理論的な射程の拡大を目指し、当初より範囲を拡げた包括的な理論構成を目指す。具体的にはFCだけを対象とした理論ではなく、SC、ECをも視野に入れた議論を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響が予想できない。自粛等が収まれば、遅れをとりもどすべく精力的に調査を行う。しかし、その状況が見通せなく、実務者へのインタビュー、訪問調査を主たる研究方法自体を見直さざるを得ない可能性をも想定する。 その場合、研究計画を見直すことを検討する。その場合は定性研究分を切り離し、理論研究および定量研究部分のウエイトを高める。 そのために研究チームの増員を検討する。理論面に強い経済学者が想定される。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、当該期間1月からの定性研究のためのインタビュー調査、それに伴う謝金、分析費用、そして研究会等が全て白紙になったことが主要な要因である。 コロナ禍の終了後、精力的に研究を行う。ただその場合、研究者のエフォートの問題が生ずる。そのような場合は、補助的な人件費への組み替えを検討する。 あるいはコロナ禍が収まらない場合、定性研究部分を棚上げする。その場合は、理論面に強い研究者を増員し、マンパワー面での増強を図る。その場合、研究予算の配分を大幅に見直す。
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