令和4年度は、アメーバ経営における経営理念と投資行動と財務政策の相互関係の研究を行い、論文「経営理念と投資行動」では、以下の成果を得た。第一に、現代の企業活動の前提となってきているカーボンニュートラルに向けた活動の背景について、「持続可能な開発」と「プラネタリー・バウンダリー」の概念から説明した。第二に、アメーバ経営の事例研究として、京セラ株式会社の太陽光発電事業を巡る経営理念と投資行動の相互関係について考察した。 令和元年度からの補助事業期間全体を通じて実施した研究において、アメーバ経営における経営理念と投資行動と財務政策の相互関係について、①持続可能成長率と新事業創造の観点、②企業のライフサイクルの観点、③企業経営の目的と統合報告書の観点、から分析したことは、独自の視点による分析であり、意義がある。中でも、①持続可能成長率と新事業創造の観点からの分析によって、アメーバ経営における経営理念と投資行動と財務政策が相互に関係していることを示唆した点は重要である。 また、これらの方法は、アメーバ経営における経営理念と投資行動と財務政策の相互関係にとどまらず、他の企業の分析にも応用できる点は重要である。これらの方法によって、今後、経営理念と投資行動と財務政策の相互関係の視点から、アメーバ経営をしている企業と、アメーバ経営をしていない企業とを比較することによって、アメーバ経営の本質を追究できる可能性があるので、大きな意義がある。
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