研究課題/領域番号 |
19K01872
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山本 聡 東洋大学, 経営学部, 教授 (60632346)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中小企業 / 海外市場参入 / 事業機会 / 個人的企業家志向性 / バーンアウト / 家族関係 / 個人事業主 / 従業員 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、コロナ禍による緊急事態宣言や蔓延防止法から、研究計画の変更が生じた。移動制限に対応するため、東京都、その中でも研究拠点である東洋大学近隣を調査対象とした。さらに感染リスク回避と円滑な許諾を得るため、「従業員」ではなく、「経営者」をインタビュー対象に再設定した。加えて、国際的なヒトの往来に関する強い制限から、「国際化」だけでなく、事業機会の発見・活用と事業成長一般を対象にした。以上より、荒川区、葛飾区、北区、新宿区、埼玉県の中小企業を調査対象としつつ、蔓延防止法解除後に、新潟県燕三条地域の訪問調査を行った。さらに長野県諏訪地域の中小企業経営者などにオンライン・インタビューを行った。並行して、過年度に実施した特定企業の従業員アンケートを1月に実施し、時系列的な変化を分析を行った。また、調査会社を用いた個人事業主と中小企業の従業員に対する大規模なオンライン・アンケートを3月に実施した。当該アンケートではコロナ禍における研究成果を踏まえた上で、個人的企業家志向性と自律性に加え、心理変数としてのバーンアウトおよび家族変数を用いている。本年度の研究成果として、共著の書籍1冊を上梓した。当該書籍では第3章「多摩の工業」を担当し、多摩地域における中小企業の国際化プロセスを経営者と地域の文脈の観点から論じた。その他に紀要論文1本、監修の書籍一冊、依頼原稿1本を発刊した。投稿中の査読論文1本もある。コロナ禍による研究計画変更を反映し、力点を置いたのが学会報告である。21年度は国際学会1本、国内学会5本の報告を行った。これらに加え、学内シンポジウム1回、依頼講演1回を行った。さらに、研究代表者が企画するシンポジウムを開催した。2022年度は国内学会1件がアクセプトされ、依頼論文1本を得ている。研究成果を用いた中小企業経営に関する特設サイトを東洋大学ウェブサイトにも公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はコロナ禍により、前年度に引き続き、対面による企業調査の自粛、東京都外の企業調査の自粛、海外渡航の禁止が繰り返され、その度に研究計画の変更を余儀なくされた。学内役職者としてのコロナ禍対応に加え、対面講義とオンライン講義が混在することによる教務負担増や保育園休園などのよる育児負担増も生じた。前年度に引き続き、WebexやZOOMを活用した企業調査、東京都内の中小企業やスタートアップに焦点を当てた企業調査、WEBアンケートによるサーベイを多面的に展開した。そして、昨年度の研究計画変更に関し、その是非を幅広く議論するため、国際学会1本、国内学会5本の報告を行った。加えて、オンライン・アンケートの統計分析も行った。ただし、分析結果を日本語・英語の論文にすることに関しては遅れが生じている。加えて、移動の制限と解除がか繰り返されたことから、研究計画の度々の修正が必要になり、研究予算の消化にも以前として遅れが生じている。以上より、前年度に引き続き、「やや遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
21年度まで、既存研究のサーベイを重ねることで、本研究の分析に有用となる様々なコンセプトを発見した。また、研究計画を変更した上ではあるが、中小企業経営者のインタビュー・データも収集した。さらに、特定企業の従業員アンケートおよび調査会社を用いたオンライン・アンケートにより、従業員の個人的企業家志向性および自律性とバーンアウトに関する種々のデータを収集した。加えて、複数回の学会報告を行うことで、これら研究成果に関する批判的な検討も行うことができた。以上を踏まえ、22年度は論文執筆にさらに注力していくことにする。すでに査読論文を一本投稿しており、さらに依頼論文の執筆・発刊も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に引き続き、コロナ禍による緊急事態宣言や蔓延防止法から、研究計画の変更が生じた。また、移動制限により、東京都外への出張規制も生じた。国内学会および国際学会はオンライン開催となった。以上より、関連する旅費の支出が抑制された。また、研究代表者は未就学児2名の育児をしていて、さらに夫婦共働きである。コロナ禍による種々の育児負担の増大も研究計画に影響を与えた。今年度は過年度までに収集したデータ分析のためのソフトウェア購入、社会の変容に伴う問題意識の変更に即した文献収集、行動規制緩和による国内・国外の出張、英文校正費などに支出し、研究最終年度を意識しつつ、新たな問題意識の醸成と今後につながる研究分析枠組みの構築を図る。
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備考 |
本サイトはこれまでの科研プロジェクトにより得た知見を援用しながら、荒川区中小企業のSDGs経営をまとめたものである。そこでは荒川区中小企業の国際化も言及されている。なお、本ウェブサイトの直接的な構築に関しては、荒川区地域産業活性化研究補助金を用いている。
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