2023年度においては、ファミリービジネス論を中心とした先行研究を整理することによって、中小企業の国際化、事業創造に関するレビューを行い、フィールド調査に向けて新たな視点を盛り込む形で、調査の対象やヒアリング内容について修正を施した。 関西地域と会津地域における酒蔵メーカー6社に対してヒアリング調査を再開した。酒蔵のイノベーション、事業の承継、地域に対する貢献についての聞き取り調査を行なった。 ヒアリング調査結果については、ファミリー企業における企業家活動がいかに継続的に行われてきたかについて分析をおこない論文にまとめた。研究成果に関しては、ナポリ大学で開催された18th EIASM Workshop on Family Firm Management Researchにおいて報告をおこなった。本研究では、酒蔵メーカーが継続的に行ってきた新事業の創造については、地域におけるステークホルダーとの関係が不可欠で、長期的な世代交代においても、信用が受け継がれていくことが明らかになった。 この研究仮説は、ファミリー企業の永続性やファミリーアントレプレナーシップの研究領域にも重要な示唆を与えうるものであり、今後、より他の多くの事例でも検証されるように、調査を継続する予定である。また、これらの研究成果については、Entrepreneurship and regional developmentに投稿準備中である。
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